エラベノベル堂

幼き支配者より

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1章 / 全10

寝台電車の揺れが、まるで母体の中にいるような心地よさで彼女を包み込んでいた。窓の外には漆黒の闇が広がり、ガラスに映る自分の顔がぼんやりと浮かび上がる。 「んっ……」 薄目を開けた主人公は、自分の喉から漏れた甘い声にハッとした。何これ、私の声じゃないみたい。体の奥底から湧き上がってくる熱い疼きが、理性を溶かそうと蝕むように広がっていく。シーツを握りしめた指先が敏感になりすぎて、布の感触さえも電流のような刺激として感じられる。 「おはよう、よく眠れたかい?」 義理の兄の声に、彼女は弾かれたように顔を上げた。彼は向かいのベッドに座り、どこか心配そうな、それでいて意味深な眼差しを向けていた。 「お兄ちゃん……何か変なの。体が熱いし、感覚が鋭くなりすぎてて……」 彼女は自分の胸元を掻き合わせながら、戸惑いを隠せない声で訴えた。太ももの内側が熱を帯びて疼き、ただ座っているだけでも背骨を甘い痺れが這い上がってくる。 「それについて話さなきゃならないんだ」 義理の兄は古びた一冊の本を取り出し、表紙に刻まれた『王家の予言書』という文字を見せた。 「君は何者かに狙われている。そして、その体に目覚めた変化も偶然じゃない」 彼女は目を丸くした。 「狙われてるって、どういうこと?」 「この予言書に記された秘宝――『魅了の秘宝』の鍵となる存在が、君なんだ。君の体に流れる血と、その秘めたる力を求めて、危険な連中が動き出している」 彼女は理解できずに首を傾げたが、体の奥の熱は説明される前から本能で理解していた。自分の中に目覚めたこの感覚は、ただの体調不良などではない。 「それで、この熱は……」 「君の体が、秘宝の力に呼応して目覚めつつあるんだろう。感覚が研ぎ澄まされ、快感への耐性と感受性が高まっていく」 彼の言葉に、彼女は自分の太ももを擦り合わせた。下着の布地が擦れる感触だけで、小さく声が漏れてしまう。 「そんなこと言われても、どうすればいいの……?」 彼女の瞳が潤み、不安と、それ以上に抑えきれない疼きが混ざり合っていた。

1章 / 全10

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