翌朝、光が差し込む寝室で、僕は結衣の寝顔を見つめていた。穏やかな呼吸。長い睫毛。この光景を見るのは最後かもしれない。 「起きてるんでしょ」 彼女が目を開けずに言った。 「...バレたか」 「あなたの視線、昔より熱くなった」 彼女が目を開け、僕を見つめる。その瞳に迷いはなかった。 「今日、私は実家に戻る。そして試験に向けてラストスパートをかける」 「うん」 「あなたは?」 「新しい仕事が決まった。セキュリティ会社で映像解析の専門職」 「...よかった」 彼女の声に安堵が混じる。僕たちは身支度を整え、リビングで最後の朝食をとった。無言だった。言葉にすれば、別れが現実になってしまう。運び込んだ荷物を車に積み終えると、高梨が現れた。 「よう、二人とも。元気そうだな」 「あんたが仕組んだことだろ」 僕が言うと、彼は肩をすくめた。 「守るためだ。文句あるか」 結衣が高梨に向き直った。 「...ありがとう。あなたのやり方は嫌いだけど、結果として私は守られた」 高梨は少し驚いた顔をして、すぐにニヤリと笑った。 「素直じゃないな、如月ちゃん」 別れの瞬間が近づく。結衣が僕の前に立った。 「和也...」 彼女が僕の首に腕を回し、僕は彼女の腰を抱いた。唇を重ねる。長く、切ない口づけ。 「忘れないで。あなたのことが、一生」 「忘れるわけない」 彼女は涙を拭い、車に乗り込んだ。窓越しに手を振る彼女の姿が、徐々に小さくなっていく。高梨が僕の隣に立った。 「終わったな」 「...ああ」 「お前、何か仕込んでたんだろ」 僕は彼を見た。 「どういうことだ」 高梨がスマホを取り出し、画面を僕に見せた。そこには、見覚えのあるプログラムが起動していた。 「お前が俺の端末に仕込んだ監視アプリ。如月ちゃんに危機があった時に、通知がくる仕組みだろ」 僕は苦笑した。 「バレてたか」 「最初から気づいてたよ。で、削除しようと思ったんだが...できない」 僕は肩をすくめた。 「自己展開型のマルウェアだからな。一度起動したら、俺しか停止できない」 「お前、犯罪者になれる素質あるぞ」 「冗談だろ。でも...」 高梨が画面を操作した。 「そしてほかにも機能がある。如月ちゃんの端末にも、お前のメッセージを送る機能が組み込まれてる」 「気づいたか」 僕は空を見上げた。結衣の乗った車は、もう見えない。 「物理的な距離は離れても、デジタルの世界で俺たちは繋がり続ける。彼女が許してくれるかはわからないけど」 高梨が笑った。 「お前、意外と執着深いな」 「...好きなんだ。それだけだ」 僕はポケットの中のスマホを握りしめた。画面には、結衣の端末とペアリング完了の表示が出ていた。これから先、彼女がどこにいようと、僕たちはデジタルな糸で結ばれ続ける。それが愛なのか、執着なのかはわからない。ただ、この繋がりだけは、誰にも断ち切らせない。僕は歩き出した。新たな生活が、そして彼女との新たな関係が、始まろうとしていた。
検閲済みプロット
スタートアップ企業の若手エンジニアの主人公と、警察官志望のヒロインが、友人のキーマンの策略により一時的に同居することになる。論理的な主人公と正義感の強いヒロインの反発から始まり、日常の積み重ねで互いの本音と魅力を知る。主人公が映像解析で才能を開花させ評価される一方で、キーマンの真意が判明し物語が急転する。期間終了時の別れ際に、互いの想いを確かめ合う濃厚なSEXを経て、予想外の結末へと至る物語。






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