エラベノベル堂

拾いものメイドの恩返し

全年齢

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10章 / 全10

朝の光が障子を透かし、部屋の隅に積まれた拾い物たちをやわらかく照らしていた。試作七号はいつものように湯気の立つ茶碗を並べ、その横に古い缶切りと紙花を飾る。俺はその様子を見ながら、ふと笑ってしまった。最初はただのガラクタだったはずなのに、今ではどれも、この部屋の景色に欠かせない。 「ご主人様、今日は少しだけ静かです」 「静かな日なんてあったか」 そう返すと、彼女はきょとんとしてから、得意げに首を傾げた。胸元の端子はもう安定していて、歌い出すことも、妙に物を増やすこともある。それでも俺は、そんな不完全さごと、彼女らしさだと思うようになっていた。 台所の窓辺では、割り箸と包装紙で作った花が朝日に透けている。昨日拾った空き缶は、今では小さな針受けになっていた。役に立つかどうかで決めつけていた俺は、ずいぶん狭い見方をしていたらしい。捨てられたものにも、使い道とは別の価値がある。欠けたままでも、誰かの隣で意味を持つことがある。 試作七号は湯のみを二つ持ってきて、迷いなく向かいに座った。 「私は最初、完成するためにここへ来たと思っていました」 「違ったのか」 「はい。ここで、居場所を覚えるためでした」 その言葉に、俺はしばらく黙って頷いた。彼女が拾い集めたものは、部品だけじゃない。沈んでいた音や、止まっていた時間や、俺自身の頑なさまで少しずつ動かしていたのだ。 そのとき玄関で軽い音がした。開けると、見知らぬ段ボールがひとつ置かれている。中身は古い食器、使いかけの毛布、少し欠けた時計、そして小さなメモだった。そこには、字の乱れた一文だけが書かれていた。もったいないから、使ってください。 俺は思わず試作七号を見る。彼女は目を丸くしたあと、ふっと微笑んだ。 「ご主人様。新しい拾い物です」 「いや、これはもう拾い物っていうより、届け物だろ」 「では、受け取ります」 そう言って彼女は、段ボールの中の毛布を丁寧に畳み、時計を棚へ置き、食器を洗い場へ運んだ。部屋はまた少し賑やかになる。だが今は、その騒がしさすら心地いい。 完全じゃなくていい。役に立つだけでも足りない。俺たちはようやく、そのことを知った。試作七号は湯のみを差し出し、俺はそれを受け取る。湯気の向こうで彼女が笑う。拾われた者と拾う者の境目は、もうとうに曖昧になっていた。 朝は静かに進み、部屋の中ではまた新しい居場所がひとつ生まれていた。

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もったいないが口癖の主人公。どこに行っても使えるものを拾ってくるのが癖になっている。ある日目を覚ますと、持ち帰ったガラクタ同然のものが、人間型の美少女メイドロボに変わっていた。彼女は恩返しをしようとするが、元が壊れた部品の寄せ集めなので、どこか抜けている。コメディ。

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