エラベノベル堂

町を守る五人組

全年齢

小説ID: cmnhipaa5000d01mz9wdahm82

10章 / 全10

催しの片づけが終わるころには、広場のざわめきもすっかりやわらいでいた。さっきまで人の流れをさばいていた五人は、誰に促されるでもなく、自然と並んで立つ。 「終わったな」 三浦がそう言うと、野田が肩を鳴らした。 「終わった、というより始まった感じだがな」 「いいこと言うじゃない」 佐伯が笑う。 早川も、手袋を外しながらうなずいた。 「ええ。もう、私たちが来ると構えられる空気じゃないわ」 榊原は広場の隅まで見渡して、短く息を吐く。 「歩きやすくなった。これなら十分だ」 その言葉に、通りすがりの子どもが振り向いた。 「あ、赤のおじいちゃんたちだ」 「赤のおじいちゃん、か」 三浦が苦笑する。 すると別の子が駆け寄ってきて、野田の袖を指さした。 「金色のおじいちゃん、また手伝うの?」 野田は一瞬だけ目を丸くしたあと、照れくさそうに笑った。 「もちろんだ。呼ばれりゃ来るさ」 「ほんとに?」 「ほんとだとも」 そのやりとりを見て、周囲の大人たちまで口元をゆるめる。かつては派手すぎると身構えられた金色が、いまは人を呼ぶ色になっていた。 「前は、怖がられてたのにねえ」 佐伯がしみじみと言う。 早川が静かに続けた。 「でも、怖いのは知らなかったから。今は知ってくれてる」 「知ってもらうまでが長かったな」 榊原がぼそりとこぼす。 三浦はそれを受けて、ゆっくりうなずいた。 「だが、長くやってきた意味はあった。わしらは、ただ目立ちたかったわけじゃない。役に立ちたかったんだ」 野田は金色の襷を手で整え、少しだけ胸を張った。 「それで、ようやく見つけてもらえたわけだ。派手なままで、受け入れられる。悪くない」 「ええ」 早川が微笑む。 「派手さも、優しさも、どっちも私たちの一部よ」 佐伯がうなずき、榊原も腕を組んだまま口元を緩める。 「要するに、余計なものだと思っていた色も、今じゃ看板だ」 「看板、か」 三浦が空を見上げる。 「なら、あとは張り切りすぎず、いつも通りだな」 そのとき、広場の向こうからまた声が飛んだ。 「おーい、次も頼むぞー」 「任せとけ」 野田が反射で返し、五人は顔を見合わせて笑った。 誰かが肩を叩き、誰かが手を振る。もう、笑われるのではなく、笑い合うための距離だ。 三浦はその光景を見て、静かに息を吐いた。 「新しい日常、だな」 「ええ」 早川が答える。 「胸を張って、進める日常よ」 榊原が少しだけ目を細める。 「年寄りの戦隊にしては、上出来だ」 野田は金色の袖を翻し、いつもの大きな声で言った。 「上出来どころじゃない。これからは、町の一員として堂々とやるさ」 五人は並んだまま、夕方へ向かう風を受ける。かつて煙たがられた役割は、いまや仲間の誇りになっていた。彼らはもう、特別に見られるためではなく、自然に笑い合える場所へ歩き出している。

検閲済みプロット

高齢の5人が個性を活かして活躍する、明るい戦隊風コメディ。一般的には華やかな役割が人気になりやすいが、この物語では逆に目立つ役割が周囲に敬遠されてしまい、主人公たちは工夫とチームワークで評価を変えていく。

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