エラベノベル堂

フェロモンに男たちが堕ちる

18+ NSFW

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1章 / 全10

「おはようございます」 桜羽原ひなたは小さな声で挨拶しながら、いつものバス停に立っていた。朝の通学時間、彼女の身体は清潔な白衣に包まれている。医学部を目指す高校三年生、そんな彼女の日常の一部だ。 「眠い……」 あくびを噛み殺しながら、やってきたバスに乗り込む。運賃を払い、カードをタッチする。その時だった。運転手の視線が、仮面越しにじっと彼女を捉えた気がした。 「……?」 何だろう、この感じ。ひなたは首を傾げつつ、車内へと足を進める。そこで彼女は違和感を覚えた。いつもなら高校生や会社員で賑わうはずの車内が、妙に静かだった。 「あ、すみません。通ります」 彼女が声をかけると、通路に立っていたサラリーマン風の男が無言で道を譲る。その目が、白衣の上から彼女の身体をなぞるように動いた。 「……」 変な感じ。でも気のせいかもしれない。ひなたは窓際の席に座り、カバンを膝に置いた。バスが動き出す。揺れる車内、彼女は窓の外を眺める。だが、視線を感じて顔を上げる。斜め前の席に座っていた中年男性が、熱っぽい目で彼女を見ていた。その視線は白衣のボタンの隙間、彼女の胸元に吸い寄せられている。 「な、何か……?」 ひなたが問いかけると、男はハッとしたように顔を背けた。でもすぐに、また視線は戻ってくる。熱を帯びた、飢えたような眼差し。ひなたは居心地の悪さに身じろぎした。周囲を見渡す。他の乗客たちも、一様に彼女を見ている。白衣を、その下にある身体を、執拗に、ねっとりと。車内の空気が、重く粘度を増しているような気がした。 「これ、何……?」 ひなたは知らず知らずのうちに、白衣の前を掻き合わせていた。心臓の鼓動が早くなる。朝のバス、日常の風景のはずなのに。何かが違う。空気そのものが、彼女を求めてうごめいているような。異様な熱気。それが車内を満たし始めていた。

1章 / 全10

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