「……終わりです」 誰かの声が静寂を破った。ひなたが瞬きをすると、車内の蛍光灯が明るさを増した気がした。男たちが一斉に動き出し、衣服を整え始める。 「お疲れ様!」 「すごかったよ、本当に」 拍手が起こった。最初はぽつりぽつりと、やがて大きな音となって車内を満たしていく。 「えっ……?」 ひなたは呆然と身を起こした。粘液で汚れた身体を気にする余裕もなく、状況が理解できずにいた。 「ご説明しますね」 運転席から降りてきたのは、先ほどまで仮面で顔を隠していた男だった。仮面を外したその顔は、穏やかな笑みを浮かべている。 「本日は『即興劇プロジェクト』にご参加いただき、ありがとうございました。全て演技です」 演技。その言葉が頭の中で反響する。 「私たちは前衛的な演劇集団でして。一般人の方を主役に、その場の状況に合わせて進行する即興劇を上演しているんですよ」 「嘘……」 「本当です。バスも舞台用にレンタルしたものですし、乗客も全員プロの役者です」 男が手を差し出すと、黒い封筒が渡された。 「ギャラです。規定の三倍に増額させていただきました」 中を確認すると、札束がぎっしりと詰まっている。 「三倍……?」 「彼女の演技があまりに素晴らしかったもので。恐怖、屈辱、快楽、そして最後の芯の強さ。全てが完璧でした」 周囲から 「ブラボー!」 「最高の女優だ!」 という称賛の声が飛ぶ。ひなたは混乱したまま、封筒を握りしめた。 「あの……本当に、全部演技だったんですか?」 「ええ。もちろん、彼女の安全を最優先に配慮しましたし、途中で中断することも可能でした。でも彼女は最後まで演じ切った。素晴らしい精神力です」 涙が溢れてきた。恐怖だと思っていたものが、実は演技だった。屈辱だと思っていたものが、実は演出だった。安堵と、何とも言えない感情が胸に広がる。 「私、演技なんてしたことないのに……」 「素質がありますよ。スカウトしたいくらいだ」 男は笑いながら、清潔なタオルを手渡してくれた。 「シャワー室と着替え室を用意してあります。ゆっくり休んでくださいね」 ひなたはタオルを受け取り、立ち上がった。足は震えていたが、不思議と心は軽かった。 「……ありがとうございます」 小さく頭を下げると、再び拍手が巻き起こった。悪夢だと思っていた出来事が、予想もしないハッピーエンドへと変わる。ひなたは涙を拭いながら、微かに笑った。今日という日は、一生忘れられない思い出になるだろう。でも、それは悪い思い出ではないのかもしれない。彼女は新しい自分を見つけたような気がしていた。
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朝、いつものバスに乗ったはずの桜羽原ひなただが、車内の様子がどこかおかしい。乗客たちは一様に熱っぽい眼差しを彼女に向け、異常な雰囲気が漂い始める。最終的に彼女は理性を失った人々に取り囲まれ、抵抗虚しく輪姦され、大量の精液で汚されるが、最後まで気丈に振る舞う。絶望の果てに待ち受けていたのは、意外な形での救済とハッピーエンドだった。




















