エラベノベル堂

映画館のポルチオ責めに

18+ NSFW

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1章 / 全10

「ここが、噂の映画館か」 桜羽原ひなたは、古びた看板を見上げながら小さく呟いた。街の外れに佇むその建物は、どこか懐かしい昭和の匂いが漂っている。手には『科学ドキュメンタリー特集・人体の神秘』と印刷されたチケットを握りしめていた。大学の研究室で開催が告知されていた上映会、これを見逃すわけにはいかない。 「十五時の回……まだ余裕があるな」 重厚なドアを押し開けると、冷んやりとした空気が肌を撫でる。館内は予想以上に広く、天井から吊り下げられたシャンデリアが薄暗い光を放っていた。受付の老人は新聞を読みふけっていて、ひなたの方を見ようともしない。チケットを提示すると、無言で通路の奥を指差すだけだった。 「ありがとうございます」 返事はなく、ただページをめくる音だけが響く。ひなたは少し肩透かしを食らった気分になりながら、示された方向へ歩き出した。廊下は迷路のように入り組み、壁には古いポスターが所狭しと貼られている。埃っぽい匂いが鼻をついた。 「上映室……三番、三番……」 薄暗い照明の下でチケットを確認する。『科学』と書かれたラベルが見える。だが、目の前に並ぶ扉にはアルファベットで『A』『B』『C』と記されていた。日本語表記の部屋はどこだろうか。 「あっちかな」 ひなたは勘を頼りに歩を進める。床の絨毯は擦り切れ、時折きしむ音が足元から漏れた。ふと、ある扉の横に貼られたプログラムらしき紙が目に入る。『科学』という文字が見えた気がしたのだ。 「これ……」 ドアノブに手をかけ、そっと開く。中はすでに暗闇に包まれていた。上映が始まっているらしい。ひなたは音を立てないよう慎重に侵入し、最寄りの席へ滑り込んだ。座席は古びていて、少しきしむ音が響く。 スクリーンに映し出されていたのは、薄暗い部屋で絡み合う男女の姿だった。あれ、とひなたは瞬きをした。人体の神秘を扱うドキュメンタリーだとしても、これは生々しすぎる。白い肌が重なり合い、荒い息遣いがスピーカーから漏れ聞こえてくる。 「……違う」 これは、科学ドキュメンタリーではない。ピンク映画だ。間違えた。間違えてしまった。ひなたは慌てて立ち上がろうとした。しかし、足元の暗さと座席の狭さに邪魔され、動けない。その時、背後から視線を感じた。 「来たな」 低い男の声が、耳元で囁かれた。

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