私が隣人の手を取った瞬間、視界が白く染まった。 「っ……!」 脳裏に断片的な映像が洪水のように流れ込んでくる。蝋燭の揺らめき、石造りの祭壇、そして何人もの男たちに囲まれた自分の姿。私は金色の装飾が施された衣装を身に纏い、恍惚とした表情で彼らを受け入れていた。 「見えるわよね。あなたの過去が」 隣人の声が遠くから響く。映像の中の私は、男たちに跪き、悦びに浸っている。その光景は羞恥心を刺激すると同時に、奥底で眠っていた熱を呼び覚ました。 「私は……こんなことをしていたの」 「儀式よ。世界の均衡を保つために、あなたは体を捧げていた」 映像が消えると、私は荒い息を吐いていた。衣装の下で肌が熱く火照り、胸の鼓動が早鐘を打つ。 「記憶はまだ完全じゃない。けれど、あなたの体は覚えているはずよ」 隣人は私を立ち上がらせ、部屋の外へと促す。 「どこへ行くの」 「街の歓楽街よ。あなたの記憶を完全にするために、衣装の魔力を実践してもらう」 夜の街を歩く私たちは、煌びやかなネオンサインが並ぶ通りへと足を踏み入れた。酔っ払った男たちの視線が、私に向けられるたびに衣装が熱を帯びる。 「ほら、あそこの店に入りましょう」 彼女が指差したのは、怪しげな照明に照らされたキャバクラだった。店内は煙草の煙が充満し、半裸の女たちが客の膝に座っている。 「いらっしゃい。おや、珍しい客だね」 店の男が私たちを値踏みするように見る。隣人は私の背中を押し、カウンターへと導いた。 「この子に特別なサービスをさせてあげるわ。個室を貸して」 「へえ、ありがたいね。奥の部屋を使いな」 狭い個室に通されると、数人の男たちが続いて入ってきた。彼らの視線は私の衣装に釘付けになっている。 「その服……すげえな」 「触っていいのかよ」 男の一人が私の肩に手を置く。その瞬間、衣装が生き物のように反応し、熱が全身に広がった。 「あっ……」 「おっ、いい反応だな」 私は抵抗しようとしたが、体が言うことを聞かない。それどころか、男たちの接触を求めてしまう自分がいた。 「そうよ。そのまま受け入れるの」 隣人の声が、甘く囁く。男の手がレースの上から胸を鷲掴みにし、私は甘い声を漏らしていた。
黒衣、堕ちし救世主
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