エラベノベル堂

堕ちた果てに

18+ NSFW

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6章 / 全10

「次のターゲット、決定か」 深夜の寮の一室で、みくは日記の新しいページを解読していた。暗号を紐解くと、教師たちが次に開発対象として選定した生徒の名前が浮かび上がってくる。 『対象M。総理大臣令嬢。政治的価値・極大。開発優先度・最上級』 「……私のことだ」 背筋が凍りついた。教師たちは最初から正体を知っていたのだ。父が送り込んだスパイであることを把握した上で、泳がせていた。そして今、開発の最終段階へ進もうとしている。 「みく、起きているか」 窓を叩く音に顔を上げると、蓮が外からこちらを見ていた。彼は器用に窓枠を乗り越え、音もなく部屋へ入り込む。 「夜更けに何しに来たの」 「渡すものがある」 蓮が差し出したのは、一枚の写真だった。映っているのは、みくがこの学園に転入する前日のものらしき画像。彼女の自宅周辺を撮影した 監視写真だ。 「これは……」 「俺が敵国の密偵だと、知っておいたほうがいい」 蓮の告白に、みくは息を呑んだ。日記から推測していたが、まさか本人の口から聞くことになるとは。 「敵国って、父が警戒している隣国の」 「そうだ。お前を監視するために潜入した。総理大臣の娘がどのような弱みを持っているのか、それを探るのが任務だった」 「じゃあ、ずっと私のことを……」 「監視していた。最初はな」 蓮は窓枠に寄りかかり、月明かりに照らされた横顔を伏せた。 「だが学園の実態を見て、方針を変えた。ここは単なる開発施設じゃない。政治家や実業家へ生徒を売り渡す、巨大な人身売買組織の拠点だ。お前がここへ来た瞬間、売却リストに載っていた」 「売られる……私が?」 「総理大臣の娘という価値は、裏社会で天井知らずの価格がつく。開発されれば、一生快楽奴隷として飼われる運命だ」 みくは拳を握りしめた。父はこのことを知っていたのだろうか。それとも、娘を囮として使ったのか。 「なぜ教えてくれるの」 「もう監視任務は終わっている。だが……」 蓮の言葉が詰まる。その躊躇いに、彼なりの葛藤が見えた。 「お前を守りたい。俺の勝手だ」 その時、廊下から足音が近づいてくる気配がした。蓮が素早くみくの前に立ちはだかる。 「来たか」 ドアが乱暴に開かれた。田代をはじめとする数名の教師たちが、冷酷な笑みを浮かべて立ちふさがっている。 「いいところで密会しているな。敵国のスパイと、総理大臣の愛娘か」 「……最初から筒抜けだったのか」 蓮が低く呻いた。田代は満足げに頷く。 「監視カメラも盗聴器も完備している。この学園で起きることは、すべて把握されているんだよ」 教師たちが一斉に部屋へ侵入してくる。逃げ場はない。 「蓮、お前の任務は失敗だ。だがチャンスをやろう。この女を開発するのを手伝え。そうすれば命だけは助けてやる」 「断る」 蓮がみくを背後に庇った。その肩が、微かに震えていることに気づいた。 「お前を守る。それが俺の選んだ道だ」 みくは彼の背中を見つめながら、胸の奥で熱いものが疼くのを感じた。恐怖と同時に、奇妙な安心感が混在している。 「無駄だ。抵抗すれば、二人とも徹底的に開発される」 田代が指を鳴らすと、さらに数名の教師たちが現れた。逃げ場は完全に封鎖されている。 「覚悟を決めろ。今宵は長い夜になる」 教師たちの手が、二人に伸びてきた。

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