エラベノベル堂

森の女王

18+ NSFW

小説ID: cmnp7cies001001lffjqaqr08

2章 / 全10

「本当に、お願いします……この現象を止めてください」 美優は麗華の前に立ち尽くし、震える声で懇願していた。頭上には次々と吹き出しが浮かび上がり、彼女の不安を可視化していく。 『どうすればいいの』 『怖い』 『一人になりたくない』 「落ち着きなさい。あなたは珍しい霊体質を持っているのよ」 麗華は優雅に手を伸ばし、美優の頬に触れた。冷たい指先が肌を滑る感触に、美優はびくりと身を震わせる。 「霊体質……?」 「ええ。稀な才能よ。普通の人間なら一生かかっても発現しない特殊な体質。あなたの魂は霊的な干渉を受けやすい状態にある」 麗華の言葉には不思議な説得力があった。艶やかな声と、落ち着き払った態度。美優は知らず知らずのうちに彼女に惹き込まれていく。 『この人なら助けてくれるかもしれない』 新たな吹き出しが浮かび上がると、麗華は満足げに微笑んだ。 「私のテントにいらっしゃい。適切な保護をしてあげるわ」 美優は頷き、麗華の後に続いた。隣のサイトには、予想を遥かに超える豪華なテントが張られていた。外観は軍用テントを思わせる頑丈そうな作りだが、入り口には複雑な模様が刺繍されている。 「どうぞ」 麗華がフラップを開けると、甘い香りが漂ってきた。美優は恐る恐る中へ足を踏み入れる。 「っ……!」 テントの中は別世界だった。壁には奇怪な絵画が掛けられ、棚には美優が見たこともない道具が並んでいる。革の拘束具や、用途不明の液体が入った瓶。そして天蓋付きのベッドには、黒と赤を基調とした衣装が散乱していた。 「これ……全部、霊的なものに関係あるんですか?」 『何だか怖い』 「そうよ。あなたを守るための護符や道具たち」 麗華は美優の背後に立ち、そっと肩に手を置いた。 「今夜はここで休みなさい。明日、あなたの体に護符を描いてあげる」 「ありがとうございます……麗華さん」 美優は安堵のため息をついた。麗華の美しい横顔を眺めながら、彼女への信頼が深まっていくのを感じていた。だが、その瞳の奥に宿る昏い光には、まだ気づいていない。

2章 / 全10

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