エラベノベル堂

瑞希、快楽の刻

18+ NSFW

小説ID: cmnq54fcr000f01mlqzoz77ml

2章 / 全10

源治の言葉に、瑞希は縋るような視線を向けた。記憶喪失という不安定な精神状態において、彼は唯一の頼れる存在だった。 「……これ、何なんですか? 私の物じゃないはずなのに」 「説明しよう。だが、その前に座りたまえ」 源治は部屋の中に入ってくると、勝手にソファに腰を下ろした。瑞希も向かい側に座る。老人の視線が日記と水着を交互に見つめ、やがて彼女の顔に戻る。 「お嬢さん、君は自分が何者か、本当のことを覚えているかね」 「私は……高校の教師で、婚約者がいて……」 「違う。それは偽りの記憶だ」 源治は低い声で断言した。瑞希の顔色がさっと青ざめる。 「君は選ばれし鍵の継承者だ。この町に古くから伝わる封印を守る役目を持っている」 「鍵……? 封印……?」 「あの日記には、代々の継承者が記した秘儀が記されている。そしてその水着は、儀式の際に身につける聖なる衣だ」 源治の語る内容は荒唐無稽だった。しかし、記憶の空白に怯える瑞希にとって、彼の言葉は唯一の手がかりに思えた。 「じゃあ、私が海水浴場で倒れたのは……」 「儀式の記憶が蘇ったからだ。封印が弱まっている証拠でもある」 瑞希は震える手で日記帳を手に取った。封蝋は固く閉ざされ、開けることはできない。 「開けたいと思いませんか? 中身を確かめたいと」 源治の瞳が怪しく光った気がした。瑞希は無意識に日記を抱きしめる。 「……開けたいです。私が何者なのか、知りたい」 「よろしい。だが、封印を解くには条件がある。君が真の継承者として相応しいと認められなければならない」 「どうすれば……?」 源治はゆっくりと立ち上がり、瑞希に近づいた。壁際に追い詰められた彼女は逃げ場を失う。 「まずは、その水着を身につけることだ」

2章 / 全10

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