エラベノベル堂

裏切りの果てに魔王が蘇る

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1章 / 全10

深夜二時、職員室の蛍光灯は一つだけ点いていた。新人教師の美月は積み上げられた生徒の作文を片手に、大きな欠伸を噛み殺していた。 「まだ半分も終わってない……明日の授業準備もあるし、今日は帰れるのかな」 三年前、地元の教育大学を卒業してすぐにこの学校に着任した美月は、二十二歳の若さと真面目さを兼ね備えた教師だった。黒縁眼鏡の奥にある瞳は知的で、艶やかな髪をきっちりとまとめた姿は、生徒たちからも尊敬を集めている。 ふと視線を感じて顔を上げた時、職員室の隅にある古びた本棚に目が留まった。掃除用具置き場の脇、埃を被ったその棚には、見たことのない一冊の書物が紛れていた。 「こんな本、あったかしら」 美月は立ち上がり、その本を手に取った。表紙には何も書かれていない。だが、指先が革の装丁に触れた瞬間、甘い痺れが手首へと走った。 「っ……」 不思議な感覚だった。恐怖よりも、好奇心が勝っていた。美月は無意識のうちに本を開いていた。 その瞬間、全身に激痛が走った。 「ああっ……!」 叫び声は喉の奥で凍りついた。背骨を中心に熱が奔り、内側から暴力的な力で体が作り変えられていく。眼鏡が床に落ち、足元の床板が軋む音を立てた。 変化は数分で終わった。けれど美月は、自分がもう以前の自分ではないことを悟っていた。肌の質感が変わった。髪のまとめ方が解け、今は背中の中ほどまで流れるように落ちている。何よりも、身体の奥底に渦巻く熱い塊が、彼女自身を怯えさせた。 「これは……一体」 美月は震える手で自分の体に触れた。谷間のライン、腰のくびれ、太腿の内側——どことなく触れる場所が以前とは違っていた。 その時、足元で小さな鳴き声がした。美月が飼っているハムスターの 「ポテト」 だ。職員室に連れてくることは禁止されているが、寂しがり屋な美月は常にポーチの中に隠れて連れ歩いていた。 「ポテト……あなたも驚いたでしょうね」 ハムスターを見つめる美月の目が、怪しく金色に光った。甘い果実のような香りが部屋中に漂っている。その香りは、彼女自身から発せられていた。 「待って、どうして……」 美月は混乱した。自分の意志とは関係なく、唇が勝手に動く。 「ようやく目覚めたか。我が主よ」 その声は美月の口から出たものではなかった。ポテト——小さなハムスターが、不気味に口を開いたのだ。 「ポテト……?」 「その名で呼ぶのはやめろ。私は敵国の密使だ。お前が魔導書に触れる瞬間を三年待った」 美月は息を呑んだ。可愛がっていたペットの正体。 「お前の中に眠るサキュバスの力、それが完全に覚醒すれば世界を滅ぼすことができる。我々の目的のために、その身を捧げてもらうぞ」

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