深夜二時を回っていた。受験勉強に疲れた瞳が、参考書の文字を追うのをやめた瞬間、窓の外で強烈な光が弾けた。 「えっ……何?」 美咲は立ち上がり、カーテンを開ける。夜空を切り裂くようにして、何かが落下してくる。隕石かと思ったが、スピードが落ちていく。まるで着陸しようとしているかのように。 「嘘でしょ、こっちに来る……!」 彼女は後ずさりしたが、その物体はアパートの狭い庭に音もなく着地した。ドーンという衝撃音はなく、ただ静かな唸り声のような低周波だけが響く。恐る恐る窓に近づいた美咲は、息を呑んだ。 「船……?宇宙船?」 それは銀色に輝く紡錘形の物体だった。大きさは人間が一人入れるかどうか程度。表面は滑らかで、どこか生物的な質感を持っている。数秒後、船の側面が音もなく開いた。 「い、いるの?中に」 美咲の震える声に応えるように、小さな影が次々と現れた。十センチほどの小さな体。透き通るような肌に、大きな瞳。彼らは五人ほどで、キラキラと輝くような存在感を放っている。 「わぁ、ここが地球だね!」 一人が高い声で言った。 「懐かしい匂いがする」 別の一人が鼻をひくつかせる。彼らは美咲に気づくと、一斉に顔を上げた。 「あ、大きな人がいる!」 「こんにちは~!」 無邪気な声が重なる。美咲は呆気にとられた。 「え、あ、こんにちは……?」 「ここでいいのかな、ここがあの方の場所?」 彼らは互いに顔を見合わせ、そして勝手に動き出した。窓の隙間からするりと部屋に入り込む。 「ちょっ、待って!勝手に入らないでよ!」 「わぁ、いっぱい本がある!」 「何これ、変な形のもの~」 彼らは美咲の部屋を探索し始めた。引きこもりがちな彼女の城が、小さな侵入者たちに蹂躙されていく。 「ねえ、本当に止めてってば!」 美咲は慌てて彼らを追いかけたが、その動きは素早く、掴もうとする指をすり抜けていく。これが、彼女の日常が壊れる始まりだった。
甘き香りの誘惑者
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