エラベノベル堂

開発の檻から

18+ NSFW

小説ID: cmntub640000p01nszp5uzcml

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1章 / 全10

「くそっ、締め切り当日の朝まで原稿終わらねぇ」 アキはパソコンの画面を睨みつけながら、エナジードリンクの空き缶をゴミ箱へ放り投げた。同人サークル 「絶頂王国」 の唯一の作家として活動して三年、彼女はいつも締め切りギリギリまで格闘していた。 「あと三ページ……いや、濃厚なエッチシーンあと二回合わせれば」 カチャカチャとキーボードを叩く指が止まる。保存ボタンを押した瞬間、外から大きなエンジン音が聞こえた。視界を白いトラックが埋め尽くす。 ――あ、これ例のやつだ。 意識が暗転する。 「おい、問題児。いつまで寝てる」 冷たい声で目が覚めた。見上げると、金髪の美少女が腕を組んで立っている。 「ここ……どこ?」 「はぁ? 寝ぼけてんの。魔法学園の教室に決まってるでしょ」 アキは勢いよく上半身を起こした。木製の机と椅子、黒板にチョークの粉。窓の外には中世ヨーロッパ風の建物が並んでいる。 「私、トラックに跳ねられたはず……」 「トラック? また変なこと言って。アキ、あんたこの学園でも指折りの問題児なんだから、これ以上問題起こさないでよ」 少女は呆れたようにため息をつく。アキは自分の体を見下ろした。見知らぬ制服、そして何より――胸がある。 「えっ、私……女?」 「はいはい、お疲れ様。さっさと次の授業行くよ」 少女はアキの手首を掴んで引っ張り上げた。手のひらから伝わる体温が、これが夢ではないと告げている。アキは混乱しながらも、教室の隅にかけられた鏡へ目を向けた。 そこには黒髪のショートカット、大きな瞳、華奢な体つきの少女が映っていた。 「マジかよ……異世界転生ってやつ?」 アキは元々三十代の男性だった。同人作家としてエッチな小説を書き続けてきた彼が、今は完全に美少女の体になっている。 「ねえ、私のこと知ってる? どんな問題起こしたの?」 少女は振り返って眉をひそめた。 「あんたね、入学早々上級生十人まとめて魅了の魔法かけて、全裸で踊らせたんでしょ。学園中が大騒ぎだったのよ」 アキは絶句した。元の世界では想像もできないような問題児。 「それで停学処分食らって、今週からやっと授業復帰したばっかり。懲りないわね」 「いや、記憶がないんだけど……」 「またそれ。都合が悪くなると記憶喪失のふりするんだから」 少女は呆れながらも、アキの手を引いて廊下へ出た。石造りの廊下を行き交う生徒たちが、一様にアキを見てひそひそと話し始める。 「あれが伝説の問題児……」 「怖い」 「関わらない方がいいよ」 アキは周囲の視線に縮み上がった。同人誌でなら何でも書けるが、実際にこんな注目を浴びるのは心臓に悪い。 「そういえば、名前なんて言うの?」 「リナよ。あんたと同室のルームメイト」 「そっか、リナ。よろしく」 アキはぎこちなく微笑んだ。異世界での生活が始まろうとしていた。 (まずは状況を把握しないと。この体の記憶も取り戻したいし……) だがアキはまだ知らない。この世界で待ち受ける運命が、彼女の描いてきた小説よりも遥かに過激で濃厚なものであることを。

1章 / 全10

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