エラベノベル堂

救世主という名の嘘に

18+ NSFW

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1章 / 全10

「あーっ、また!」 悲鳴と共に、日傘が風に飛ばされた。白い砂浜を転がる日傘を、私は必死に追いかける。海水浴場というより、私にとっては不運のパレード会場だ。 「ちょっと待って……!」 日傘は無情にも海へと突き出した岩場の方へ転がっていく。ヒールの高いサンダルで走りにくい砂の上、私は足を取られながら追った。結局、日傘は岩場の隙間に挟まって止まったが、取りに行こうと手を伸ばした瞬間、波が打ち寄せて私をずぶ濡れにする。 「最悪……」 海水で張り付くワンピース、崩れたメイク、そして行方不明になった財布。投資家として成功し、都会で優雅な暮らしを手に入れたはずの私が、今は惨めな姿で濡れた砂の上に座り込んでいた。 「おや、奇遇だね」 頭上から降ってきた声に顔を上げると、そこには学生時代の悪夢が立っていた。草薙。黒縁メガネをかけ、相変わらずの薄ら笑いを浮かべた男だ。 「……あなた」 「久しぶりだね、アオイさん。相変わらず不幸そうで安心したよ」 「誰が不幸なのよ。ただの偶然だわ」 「偶然? 君の人生全部がそうだろう。それとも投資で成功したのは、君の実力だったとでも?」 私は言葉を詰まらせた。確かに、私の成功は運が良かっただけかもしれない。でも目の前の男にだけは、認めたくなかった。 「それで? 今日はどうしたんだい、その姿は……」 草薙は私の濡れた体を舐めるように見下ろした。薄い布地が肌に張り付き、下着のラインが透けているのが分かる。私は腕で胸元を隠した。 「何か用があるなら言ってちょうだい。なければ失せて」 「相変わらず口が悪いね。でも今日は君に見せたいものがあるんだ」 草薙は不意に真面目な表情になり、持っていた黒いバッグから古びたノートパソコンを取り出した。 「これはジャンクショップで手に入れたんだがね、どうやら特別な代物らしい」 「何それ? まさか私を笑いものにするための小道具?」 「まさか。僕は君を救いに来たんだよ、未来からね」 私は呆れたように笑ったが、草薙の目には私が見たことのない光が宿っていた。

1章 / 全10

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