名門学園の廊下で、アマネはモップを動かしていた。午前の授業が始まる前の静寂。しかし彼女の内側では、得体の知れない感覚が波打っていた。 「ここから……何かが聞こえる」 耳を澄ますまでもなかった。透視めいた能力が教えてくれる。地下深くから湧き上がる、粘り気のある欲望の奔流。それは甘く、腹の奥が疼くような感覚として全身を駆け巡った。 「アマネさん、どうしたの?」 同僚のメイドが声をかけてくる。アマネはハッとして顔を上げた。 「なんでもないの。ちょっと……体調が」 「顔、赤いわよ。熱でもあるんじゃない?」 「大丈夫。少し休んでくるわ」 アマネはモップを置き、逃げるようにその場を離れた。地下への入り口は職員用階段の奥にあった。普段は鍵がかかっているはずの鉄扉が、なぜか少し開いている。 「……開いてる」 心臓が早鐘を打つ。能力が強く引っ張っていた。地下へ。もっと深くへと。薄暗い階段を降りていく。空気が変わっていくのを感じた。湿り気を帯びた、甘い香り。 「うっ……」 下腹部の奥が熱くなる。足を止めて無意識に太ももを擦り合わせると、布地の擦れる感覚が鋭敏すぎて、思わず唇から息が漏れた。 「これ、なに……」 自身の体の反応に戸惑いながら、アマネはさらに降りた。階段の終わりには長い廊下が続いている。壁には等間隔に扉が並んでいたが、どれも施錠されている。唯一、一番奥にだけ古びた木戸があった。その扉から、最も強烈な欲望が漏れ出していた。 「開けちゃ……いけない」 分かっているのに、体が勝手に動く。震える指先が取っ手に触れた瞬間、背筋を電流のような快感が駆け抜けた。 「あぁっ……!」 膝が崩れそうになる。秘めた場所が潤み、太ももの内側が熱くなっていくのを感じた。 「どうして……こんなことに」 アマネは荒い息を吐きながら、ゆっくりと扉を押し開けた。鈍い音を立てて、禁断の区画が口を開く。そこから漏れ出したのは、睫くらむような熱気と、粘膜を震わせるような生々しい気配だった。
夢に残る快楽へ
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