朝の眩しい日差しがグラウンドを照らす。私はベンチの中央に座り、大きく伸びをした。隣に座っていた顧問の先生が怪訝そうな顔で私を見る。 「美咲、お前……なんか雰囲気変わったな」 「そうですか? 気のせいじゃないですか?」 私は艶やかに微笑んだ。私の瞳は深紅に輝き、肌は陶器のように白く、髪は妖しく黒光りしている。すでに人間の姿ではない。けれど、誰もそのことに気づいていないようだった。 「おい、全員集合!」 大輝先輩の声が響く。ドットと集まった部員たちの姿に、対戦相手の選手たちが息を呑んだ。 「あいつら、何なんだ……?」 「目の下のクマが全くない……肌の色つやが異常だぞ」 健太くん、翔太くん、和也くん、山村くん、田中くん、そして大輝先輩。彼らの身体は引き締まり、筋肉が鎧のように浮き上がっている。瞳には野生の光が宿り、まさに猛獣のようだった。 「勝つぞ!」 「おう!」 雄叫びが上がり、彼らがグラウンドへ走り出していく。その背中を見送りながら、私はニヤリと笑った。 「ふふ……頑張ってね、私のかわいい勇者たち」 試合は、最初から終わりだった。和也くんの速球は、相手バッターのバットを砕き、健太くんのキャッチングは完璧。打線は爆発し、大輝先輩のホームランが場を沸かせた。 「す、すげえ……まるで別物だ」 「何を食ったらあんなになるんだ」 相手チームの控え選手たちが震えている。私はそれを見て、小さく笑った。 「特別な食事よ。私の……ね」 四回表、私たちの攻撃。翔太くんがバッターボックスに入る。彼はバットを構え、ピッチャーを睨みつけた。 「美咲先輩の特訓の成果、見せてやる」 初球、フルスイング。打球は放物線を描き、場外へと飛んでいった。 「うおおおっ!」 「翔太、やったな!」 ベンチが沸き立つ。私は満足げに頬杖をついた。 「いい子ね。今夜もご褒美をあげなきゃ」 五回裏、相手の攻撃。山村くんがサードを守る。ゴロが飛んできた瞬間、彼の身体が残像を残した。 「あいつ、速すぎるだろ」 一瞬で一塁へ送球。アウト。 「ははは、余裕だね」 山村くんが私の方を振り返り、ニヤリと笑った。その瞳もまた、深紅に光っていた。試合は七回コールドで終わった。十五対ゼロ。圧倒的な勝利だ。 「勝った!」 「美咲先輩のおかげだ!」 部員たちが私の周りに集まってくる。私は立ち上がり、彼ら一人ひとりの顔を見つめた。 「みんな、よくやったわ。でも……」 私は日記を取り出し、ベンチの上に置いた。 「これからが本番よ」 日記が勝手にページをめくり、新たな文字が浮かび上がる。『契約完了。勇者軍団の誕生を認める。サキュバスの女王として、彼らを導け』 「女王……?」 私は目を見開いた。その瞬間、部員たち全員が跪いた。 「我らが女王、美咲様に忠誠を誓います」 大輝先輩の声が、静かに響く。 「えっ……」 私は呆然とした。精気を吸われた彼らは、単に強くなっただけではない。私の僕となっていたのだ。 「ふふ、そう。なら、これからもたっぷりと愛してあげる」 私は日記を抱きしめ、満足げに微笑んだ。私の瞳は完全に深紅に染まり、背中には見えない翼が広がった気がした。そう、これは試合に勝っただけではない。私は、私の王国を手に入れたのだ。
検閲済みプロット
女子野球部のマネージャーを務める女子生徒が、合宿中の肝試しで古い神社を訪れ、封印されていた日記を読んだことでサキュバスの力に目覚める。精気を補給する必要に迫られつつも、それを部員たちのスタミナ強化と精神統一のための『特訓』と称して行う。日記に記された知識と、お風呂場での濃厚な接触を経て、部員たちは異常なほどの活力を得て試合に挑む。







