化学研究所の地下三階、冷却ファンが低く唸る実験室で、玲奈は禁断の領域に足を踏み入れていた。時空間解析装置『アカシック』。正式には稼働許可が下りていないプロトタイプの前に立ち、彼女は震える指で起動シーケンスを入力する。 「これで、未来が見えるなら」 助手として参加しているプロジェクトは停滞していた。成果を出さなければ、研究費は打ち切られる。焦燥感が彼女を突き動かしていた。モニター上の数値が異常な速度で跳ね上がる。警告音が鳴り響く中、玲奈は停止ボタンを押そうとした。だが、手が動かなかった。装置の中心から、目も眩むような白い光が溢れ出したのだ。 「きゃあっ」 光が彼女の体を貫く。熱ではなく、もっと根源的な何かが、細胞の一つ一つに刻み込まれる感覚。玲奈は膝から崩れ落ちた。視界が白く染まり、脳内に直接響く声を聞いた。『破滅が来る。穢れが全てを飲み込む』 「何……それ」 ビジョンがフラッシュバックする。崩壊する都市。異形の影。そして、快楽に歪む自分の顔。玲奈は激しく首を振った。 「嘘、こんなの」 荒い息を吐きながら顔を上げると、実験室の片隅に置かれた古びた日記が目に入った。先週、見知らぬ男子学生から渡されたものだ。『君に必要なものです』と言葉少なに告げた彼は、それきり姿を消した。日記が、奇妙な熱を帯びていることに気づく。玲奈は震える手で表紙を開いた。そこには、彼女の知らない文字で、今日の日付が記されていた。
異形の実験体に飼われる
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