夜の帳が下りた頃、ミナトは再び図書館へと足を運んでいた。日記の記述——『地下書庫の最奥、二〇三番棚の裏』——その言葉が頭から離れなかった。 「地下書庫……普段は立ち入り禁止のはず」 警戒しながら階段を降りると、湿った空気が肌にまとわりつく。古い紙の匂いに混じり、何か異質な香りが漂っていた。 「これ……」 二〇三番棚の裏側に手を伸ばすと、冷たいガラス瓶が指に触れた。中には琥珀色の液体——強壮剤だ。 「あった……」 瓶を手に取った瞬間、背後で気配が動いた。 「おや、珍しいお客さんだ」 振り返ると、薄暗がりから野太い男たちが姿を現す。三人、いや四人——すべて粗末な服を着た浮浪者たちだった。 「あ……」 「ここは俺たちの住処でね。勝手に入り込んだ代償は払ってもらうよ」 一番大柄な男が、ニヤリと笑った。その視線がミナトの身体を舐めるように動く。 「待って、わたくし、ただ本を探しに……」 「本?ああ、その薬か。いいもん見つけたな」 男の手が伸び、ミナトの腕を掴んだ。 「離して……!」 「抵抗すんなよ。お前、身体が熱いんだろ?その薬の匂い、わかるぜ」 ミナトの身体は確かに熱を持っていた。強壮剤の香りが、理性を蝕んでいく。 「いや……来ないで……」 「嘘つけ。お前の身体、求めてるぞ」 男の太い指がミナトの頬を滑り、首筋へと降りた。 「んっ……」 甘い声が漏れる。ミナトの中で、もう一人の自分が目覚めようとしていた。 「ああ……ダメ、来る……」 「来たか」 男たちは包囲を狭め、逃げ場を塞いでいく。ミナトの瞳が、淫らな光を帯び始めていた。 「ふふ……いい夜ね」 その声は、もはや以前のミナトではなかった。
淫夢が彼女を蝕む
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