「あの、本当に間違えたんです。帰らせてください」 ひまりは必死に訴えたが、田中先生の握る手首は鉄のように解けない。 「間違い? 違うだろ。タイミング完璧じゃないか」 数学の先生がグラスに酒を注ぎながら笑う。 「我々が呼んだのは、寂しい夜を慰めてくれる嬢だ。来てくれたんだろ?」 酔った男たちの目は熱っぽく、ひまりの浴衣の襟元から覗く鎖骨を舐めるように見つめている。 「ち、違います! 私は生徒です。田中先生、わかりますよね?」 ひまりは担任の目を覗き込んだが、アルコールで潤んだ瞳に理性の光は薄い。 「ああ、わかってる。ひまりだ。優秀な生徒だな」 田中先生はそう言いながら、彼女の手を引いて座敷の中央へと導いた。 「だからこそ、いろいろ教えてもらいたいんだよ」 襖の前には別の先生が立ちはだかり、逃げ道は完全に遮断されている。 「いや……健太くんが待ってるのに」 ひまりの抗議は、男たちの下品な笑い声にかき消された。 「彼氏? そんなガキより、大人の男の方がいいに決まってる」 太った社会の先生が、どっかりと座り込んで座布団を叩く。 「さあ、ここに座れ。一杯だけでも付き合えよ」 「お、毒見してやるから」 誰かが注いだ日本酒が、ひまりの目の前に突き出される。 「飲めないなら、体で払ってもらうけどな」 数学の先生が冗談めかして言ったが、その目は笑っていなかった。ひまりの華奢な体が小さく震える。五人の大人の男たち、酒の匂い、熱気。彼女は理解した。この空間には、常識も校則も通用しないと。 「さあ、どっちにする? 飲むか、それとも……」 田中先生の手が、彼女の肩を愛おしむように撫でた。
華奢な体、背徳に染まる
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