夜が深まっていた。美咲はシャワーを浴び、アルトの残滓を洗い流したが、身体の奥底に残る熱は消えなかった。バスルームの鏡に映る自分の顔を見つめる。蒼い光は消えている。でも、瞳の奥に何かが宿っている気がした。タオルで身体を拭き、寝室に戻る。ベッドのシーツは乱れたままだ。 「結局、何も終わっていない」 美咲はデスクの前に座り、ノートパソコンを開いた。画面には古城研究所のデータが残っている。呪いの起源。アルトの世界への扉。そして、自分が背負う永遠。 「不老不死の呪いは解けない。でも、彼を拒絶したことには意味があった」 美咲はキーボードを叩き、新たなファイルを作成した。タイトルは『永遠の記録』。自分が体験した全てを書き残すためだ。 「誰かが同じ目に遭ったとき、この記録が助けになるかもしれない」 指が止まる。身体の芯が再び熱くなった。 「っ……また」 アルトへの渇望が奔流のように押し寄せる。彼はもういない。異世界に追放された。なのに、身体は彼を覚えていた。指先が震え、太ももが熱を持つ。 「消えない……本当に消えないのね」 美咲は自嘲気味に笑った。ノートパソコンの横に、革製の拘束具が置かれている。かつて古城研究所の女性研究員が使っていたもの。彼女もまた、呪いと向き合い続けたのだろうか。 「永遠を生きる孤独。それを知っているのは、私たちだけ」 美咲は立ち上がり、窓に近づいた。夜空には星が輝いている。アルトの蒼い瞳を思い出す。 「あなたは私のものにはならない。でも、私は永遠にあなたを求め続ける」 その矛盾した感情が、胸の奥で渦巻いていた。ふと、デスクの上のノートパソコンが光った。新しいログが表示されている。『美咲さん、君は僕を拒絶した。でも、忘れないで』『呪いは解けない。君が誰かを愛しても、その相手はいつか死ぬ』『残されるのは、君だけ』美咲の唇が歪んだ。 「……分かっているわ」 彼女は画面に向かって囁いた。 「永遠を生きる孤独。それが私の運命なら、受け入れる」 美咲はメイクポーチを手に取り、鏡を見た。ルージュを塗る。光が身体を包み、魔法少女の姿に変わる。でも、今回は戦うためではない。 「この力を使って、私は前へ進む」 誰かを救うために。自分と同じ呪いを背負った誰かを見つけるために。美咲は窓を開け、夜風を浴びた。街の灯りが遠くで瞬いている。永遠の時の中で、彼女は一人で歩み続ける。 「アルト、あなたは私のものにはならない。でも、あなたが私に残した渇望は、私の力になる」 美咲の瞳に、不穏な光が宿った。それは孤独を抱えながらも、前に進もうとする意志の光。夜が更けていく。彼女の永遠の物語は、今始まったばかりだった。
検閲済みプロット
不老不死の呪いを持つ女子凄腕ハッカーが、ジャンクショップで入手した謎のノートパソコンと拘束具をきっかけに、異世界から来たパン屋の店員と肉体関係を重ねていく物語。転校生は予知能力を持つタイムリーパーで、主人公に警告を試みる。メイクによる魔法少女変身要素を含み、最終的に呪いの秘密が明かされる。




















