エラベノベル堂

狂愛の支配に

18+ NSFW

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4章 / 全10

俺は大通りまで走り続け、人混みの中に身を潜めた。心臓が早鐘を打ち、冷や汗が背中を伝う。葵の最後の言葉が、耳から離れない。 「昨日のあなたの一部です」 ——その囁きが、呪いのように脳内で反響している。胃の底から吐き気が込み上げ、俺は街角のゴミ箱に屈み込んだ。何も出ない。だが、胸の奥の悪感は消えない。彼女は俺の精を料理に混ぜた。狂っている。異常だ。あの妖艶な微笑みの裏に、そんな歪んだ愛情が潜んでいたなんて。 「大丈夫ですか?」 通りすがりのサラリーマンが心配そうに声をかけてくる。俺は震える手で 「大丈夫」 と答え、よろめきながら立ち上がった。スマホを取り出すと、画面に葵からのメッセージが表示されていた。『逃げても無駄ですよ。あなたは私のものです』読むだけで指先が震える。俺は即座に彼女の連絡先を削除した。いや、それだけじゃ足りない。店に行かなければいい。二度と近づかなければ。そう自分に言い聞かせながら、俺は夜の街を歩き続けた。ネオンが滲み、人々の顔が歪んで見える。あの美しい女主人は、捕食者だった。俺という獲物を見定め、じわじわと追い詰めてきた。カフェでの清楚な振る舞い、バーでの妖艶な眼差し、そして公園での奉仕——全てが罠だった。 「くそっ……」 俺は悪態をつき、暗い路地へと逃げ込んだ。息を整えようとするが、肺が引きつる。ふと顔を上げると、街灯の下に人影があった。 「探しましたよ」 甘い声が闇から響く。葵だった。彼女は夜の闇に溶け込む黒いワンピースを纏い、獲物を見つけた捕食者のような笑みを浮かべていた。 「どうして……」 俺が後ずさると、彼女はゆっくりと近づいてくる。 「言ったでしょう? どこまでも追いかけるって」 その瞳には、狂気じみた執着が燃えていた。俺は背筋が凍るのを感じた。逃げられない——そう直感した瞬間、足がすくんだ。

4章 / 全10

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