エラベノベル堂

冷徹な社長を堕す

18+ NSFW

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1章 / 全10

「おい、このUFOキャッチャー曲がってるぞ! ふざけやがって!」 客の怒鳴り声が店内に響き渡る。京介は溜息をひとつ漏らすと、モップを手にしたままゆっくりと振り返った。 「お客様、どのようなご用件でしょうか」 低く落ち着いた声には、 特異な威圧感が滲んでいる。怒り心頭の客は、京介の目を見て一瞬言葉を詰まらせた。 「だから、この機械が――」 「機械の調子が悪いということでよろしいですね。確認いたしますので、少々お待ちいただけますか」 京介は客の肩に手を置くことなく、ただ静かに見つめただけだった。それなのに、客は何故か一歩後ずさり、 「あ、ああ……わかった」 と急に大人しくなった。騒ぎを聞きつけた店長が駆けつけてきたときには、すでに事態は収束していた。 「京介くん、また君が?」 「たまたまです」 京介は淡々と答え、再び清掃に戻った。人混みが引いた閉店間際の店内、彼は隅々まで丁寧に磨き上げていく。この仕事は性に合っていた。無駄な会話も、感情のやり取りも必要ない。ただ黙々と、与えられた任務をこなすだけ――そう思っていたあの日までは。床の陰で、何かがきらりと光った。京介は屈み込み、それを拾い上げる。それはUSBメモリだった。だが、ただのメモリではない。表面にはクリスタルが散りばめられ、金色の装飾が施されている。 「派手すぎるだろ……」 普通、こんなものをゲームセンターに落とす人間などいない。よほど慌てていたか、あるいは誰かが故意に置いたのか。京介は表札を見つめた。装飾の隙間に、小さな文字で『E』の文字が刻まれている。 「エトワール……あの企業か」 近くのビルに本社を構える、新進気鋭のテック企業。テレビで見たことがある。若くして社長に就任した女性――確か、玲奈という名前だったはずだ。 「お客様、忘れ物ですよ」 と京介は誰もいない店内で呟いた。持ち主を探す手立てはあるのだろうか。その時、メモリの裏面に小さな連絡先が刻まれていることに気づいた。

1章 / 全10

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