エラベノベル堂

君という宝石へ

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COMIC BAVEL SPECIAL COLLECTION(コミックバベル スペシャルコレクション) VOL28

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2章 / 全10

里奈は数日後、再び喫茶店を訪れた。今度は大きなボストンバッグを抱えている。その表情は固く、何かを決めかねているように見えた。 「健二くん、やっぱり迷惑だよね。今の私、まともに作業できる状態じゃないし」 「何言ってるんだ。二階の部屋、掃除も済んだし」 「でも、志郎さんのこととか……健二くんに迷惑をかけたくない」 健二はカウンターから出て、里奈の目の前に立った。 「里奈ちゃん、俺は本気で言ったんだ。お前がその才能を諦めるのを、俺は見たくない」 「でも……」 「いいから来い」 健二は里奈の腕を掴み、強引に店の奥へ引っ張った。螺旋階段を上がり、二階のドアを開ける。かつて倉庫として使われていた空間は、意外なほど片付いていた。窓からは午後の日差しが差し込み、埃一つない床を照らしている。 「ここで作業していいの?」 「ああ。道具も一通り揃えた」 里奈は部屋を見回し、窓際に置かれた作業台に目を止めた。その上には、デザイン画を描くための用具が整然と並べられていた。 「これ……アンティーク?」 「昔、知人の工芸家が使ってたやつだ。まだ十分使える」 里奈の瞳に、久しぶりの光が宿る。彼女は震える手で椅子を引き、ゆっくりと腰を下ろした。 「健二くん、どうしてそこまでしてくれるの?」 健二は里奈の肩に手を置いた。 「幼馴染だからだよ。それに……お前がデザインをしている時の顔、好きだったから」 里奈は驚いたように目を見開き、やがて顔を赤らめた。 「健二くん……」 「だから、最後の一回だけだ。全力で挑んでみろ。ダメだったらその時は、俺が慰めてやる」 里奈は唇を噛み、小さく頷いた。 「うん。やる。最後の一回、全力で挑んでみる」 そして彼女は作業台の前に座り、静かに道具を手に取った。その指はまだ震えていたが、その目には決意の色が宿っていた。健二はドア枠に寄りかかり、そんな彼女の背中を眺めていた。これでいい、と心の中で呟きながら。

2章 / 全10

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