エラベノベル堂

白濁の代償に

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9章 / 全10

「あっ、ああっ……もう、ダメ……力が、入らない……」 白濁液にまみれた身体が重く、指先一つ動かすことさえ困難だった。胎内に蓄積された熱塊が脈打ち、内側から理性を溶かし続けている。だが、葵の奥底で小さな光がまだ消えていなかった。 「……やるのよ。魔法少女、なんだから」 震える唇で呟き、葵は残存する魔力を振り絞った。白濁液に覆われた身体の奥から、淡い光が湧き上がっていく。 「なっ、まだ力が残っていたか!?」 ヌルメリウスが動揺する。触手の拘束が一瞬緩んだ隙を突き、葵は全身全霊を込めて叫んだ。 「聖なる光よ……この穢れを、吹き飛ばして!」 白濁まみれの肌が妖しく輝き始めた。粘液に覆われた身体から、幾重もの光の波動が放たれる。ヌルヌルとした液体が光を反射し、幻想的な輝きとなって夜空を染めた。 「ば、馬鹿な……私の白濁液を、光で……!」 「これで、終わりよっ!」 至近距離から放たれた必殺の光波が、ヌルメリウスの中心部を貫いた。怪人の身体が内側から膨張し、断末魔とともに爆散する。 「ぐおおおおっ……!」 衝撃波が周囲に広がり、葵の身体も弾き飛ばされた。白濁液が滴る地面に叩きつけられ、ドロリとした液体の海に沈んでいく。 「あっ、ううっ……」 背中が粘液の池に触れ、ヌルヌルとした感触が全身を包み込む。怪人の残骸と溶けたペイント、そして吐き出された白濁液が混ざり合い、ドロドロの海を作り出していた。 「勝った……のか……な」 視界の端で怪人の欠片が光に溶けて消えていく。葵は安堵と疲労で、そのまま粘液の海に身を委ねた。白い液体が肌に張り付き、動くことさえ億劫になる。 「はぁ……はぁ……身体が、重い……」 指先ひとつ動かそうとしても、粘液がまとわりついて抵抗する。葵は薄れゆく意識の中で、自分が白い海に溺れていくのを感じていた。空気に触れた粘液が、徐々に熱を帯び始めていることに気づかないまま。

9章 / 全10

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