エラベノベル堂

絵筆で未来を描き変える

18+ NSFW

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1章 / 全10

ネオンが毒々しく明滅する夜の街で、ミサキはキャンバスに向かっていた。薄暗いアパートの一室、窓の外では監視ドローンが定期的に巡回している。彼女の筆が動くたび、不思議な色彩が画面に浮かび上がった。 「また、同じような絵?」 背後から声がして、ミサキは振り返った。タクミがドアフレームに寄りかかっている。彼は彼女の幼馴染で、今は警察官志望の受験生だった。 「タクミ。見てよ、この色」 ミサキは筆を置き、キャンバスを指さした。そこには、都市の風景が歪んで描かれている。よく見るとその歪みが何かを訴えているようにも見えた。 「綺麗だな。相変わらず、お前の絵は不思議だ」 タクミは部屋に入り、ミサキの隣に座った。 「ねえ、最近、変だと思う? 私の体」 ミサキがぽつりと言った。 「変って、どういうこと?」 「描いている時、なんというか……体が熱くなるの。筆が勝手に動くような感覚」 タクミは眉をひそめた。最近、都市では奇妙な伝染病が蔓延していた。感染者は高熱を出し、意識が混濁する。医学界はまだ原因を特定できていない。 「病院、行った方がいいんじゃないか?」 「うん……でも、怖いの」 その時、ドアが激しく叩かれた。 「ミサキさんですね? オーエン製薬の者です。開けてください」 二人は顔を見合わせた。タクミが立ち上がり、ドア越しに応答する。 「何のご用ですか?」 「ミサキさんの描いた絵画について、調査の必要があります。閲覧者から抗体反応が確認されたとの報告がありまして」 ミサキの顔色が変わった。タクミはドアを開けようとしたが、その必要はなかった。電子ロックが強制解除され、白衣を着た男女が部屋になだれ込んできたのだ。 「待ってくれ! 彼女は病気じゃない!」 タクミが叫んだが、男たちは聞く耳を持たなかった。 「ご安心ください。治療です。彼女の才能は、この都市を救う鍵になります」 ミサキの手首が拘束され、強引に外へ連れ出される。彼女はタクミの方を振り返り、恐怖に満ちた目で訴えた。 「タクミ……!」 「ミサキ! 待てよ!」 タクミは追いかけようとしたが、屈強な男たちに阻まれた。 「警察官なんだろう? なら、法に従って動け」 男の言葉が、タクミの胸に突き刺さった。車両が走り去っていく。タクミは路上に立ち尽くし、握りしめた拳が震えていた。 「……くそっ」 無力感が押し寄せてくる。だが、同時に熱いものが腹の底から湧き上がってきた。彼は幼馴染を見捨てるつもりはなかった。 「待ってろ、ミサキ。絶対に助ける」 タクミの決意は固まっていた。施設への潜入。それは犯罪行為かもしれない。だが、彼女を救うためなら、法の境界線を越える覚悟だった。

1章 / 全10

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