エラベノベル堂

絵筆で未来を描き変える

18+ NSFW

小説ID: cmoe0rhtt00tq01pol63qgflo

2章 / 全10

タクミは警察署の地下資料室に一人で座っていた。夜勤のシフトが終わり、同僚たちは帰宅した後だ。薄暗いモニターの光だけが、彼の焦燥に歪んだ表情を照らしている。 「ミサキ、どこに連れて行かれたんだ……」 独り言が静寂に響く。タクミは備え付けの端末に向き直った。警察官採用試験の勉強で記憶した法規制の知識、システム管理の基礎――それら全てが、今は違法なハッキングの道具になる。 「不正アクセスは犯罪……わかってる。でも、今は迷ってる場合じゃない」 指先がキーボードを叩く。画面にオーエン製薬のロゴが浮かび上がった。研究施設の所在地、第7区画。地下構造を持つ巨大な複合施設の全貌が表示される。 「セキュリティレベル4、生体認証必須……正面突破は無理だ」 タクミは画面をスクロールさせた。換気システムの設計図が目に止まる。旧時代の設備が今も補修されながら稼働している記述を見つけた。 「これなら……通気口から入れそうだ」 三時間後、タクミは施設の外壁に張り付いていた。夜風が頬を撫でる。監視ドローンが頭上を通り過ぎるのを待ち、彼は素早く移動した。通気口の格子をバールで慎重に外す。狭いダクトへと体を滑り込ませる。 「くっ……狭すぎる」 金属の冷たさが肌を刺す。肘と膝で前進するたび、擦れる音が響く。息が詰まりそうになる。それでも、彼は止まらなかった。 「待ってろ、ミサキ」 ダクトを抜け、冷たい廊下に降り立つ。無機質な白い壁がどこまでも続いていた。消毒液の匂いが鼻をつく。 「静かすぎる……何かがおかしい」 タクミは影に潜みながら進んだ。監視カメラの死角を縫う移動パターンを頭に描く。廊下の奥に標識が見えた――『第7治療室』。 「ここだ」 電子ロックが赤く光っている。タクミは深く息を吸い込み、覚悟を決めた。

2章 / 全10

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