エラベノベル堂

魔法が消える夜

18+ NSFW

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6章 / 全10

廃ビルの前に立つチハヤは、背中のリュックの中身を再確認した。編集用の高輝度LEDライトを改造した閃光弾、指向性スピーカーを利用した音響妨害装置、そして業務用の小型ドローン。どれも映像制作の現場で使う機材だが、使い方次第で武器になる。 「ハルキさんの言う通りだ。敵の行動パターンさえ見抜けば、力なんて必要ない」 彼は深呼吸をして、ビルの入り口へと足を踏み入れた。薄暗い廊下。壁には第5話と同じ紋章が薄らと光っている。チハヤはドローンを飛ばし、モニターで内部を確認した。 「光源を辿れば、中枢に行き着くはずだ」 ドローンの映像に、異形の影が映る。彼は音響妨害装置をセットし、スイッチを入れた。高周波のノイズが響き、異形が怯んだ隙に駆け抜ける。 「映像編集で培ったタイミング感覚……役に立つとはな」 迷路のような廊下を抜け、チハヤは広い空間に辿り着いた。中央にある祭壇のような台。その上に、ミキが横たえられていた。 「ミキ!」 駆け寄ろうとした瞬間、影が壁から滲み出た。 「人間が……何をしに来た」 異形の冷笑。だがチハヤは動じなかった。 「お前たちの弱点、わかったよ。光と音……魔力への干渉に弱いんだ」 彼は閃光弾を床に転がした。強烈な光が炸裂し、異形が悲鳴を上げる。その隙にチハヤは祭壇へ走った。 「ミキ、しっかりしろ!」 ミキの拘束を解き、彼女を抱き起こす。彼女の身体は熱く、意識は朦朧としていた。 「……チハヤ……さん?」 彼は脱いだジャケットを彼女の裸体にかけ、背中に背負った。 「行くぞ。ここから脱出する」 異形が再び立ち上がる。 「逃がすと思うな……!」 「逃げるんじゃない。突破するんだ」 チハヤはドローンを敵に向けて飛ばし、スピーカーから最大音量のノイズを流した。異形が苦悶の声を上げ、のたうち回る。 「映像の編集は、タイミングとカット割りが全てだ。お前たちの行動パターン、もう編集済みだよ」 彼はミキを抱え、出口へと走った。背後で異形の怒号が響くが、追撃は来ない。アジトの外に出た瞬間、夜風が二人を包んだ。ミキがチハヤの耳元で囁いた。 「……ありがとう……私を……見捨てなかった…」

6章 / 全10

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