エラベノベル堂

仮面が剥がれる夜

18+ NSFW

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1章 / 全10

颯汰は液晶モニターに映る数値を無表情に見つめていた。開発中のアルゴリズムは順調だ。しかし、彼の頭の中を占めているのはコードのことではない。 「博明さん……」 呟いた名前は、彼にとって恩人であり、理想の上司だった。だが、その博明が経営する投資クラブに、不可解な資金の流れがあることを突き止めたのは、ほんの偶然だった。颯汰はため息をつき、席を立つ。帰宅しようとした彼を、誰かが呼び止めた。 「颯汰さん、でしたよね?」 振り返ると、一人の女性が立っていた。艶やかな黒髪、切れ長の瞳、そして隙のない立ち姿。瑠美と名乗った彼女は、静かな声で告げた。 「博明さんのこと、調べていらっしゃるんですよね? 私も協力させてください。彼の投資クラブの実態を暴きたいのです」 颯汰は警戒したが、彼女の目にある決意を見て取った。瑠美はスパイとして、そのクラブの極秘パーティーへの潜入を目論んでいた。 「ですが、私一人では限界があります。颯汰さん、あなたの技術力があれば、彼らのセキュリティを突破できる」 彼女は颯汰の目を真っ直ぐに見つめた。 「パーティーには、招待されたカップルしか参加できません。だから、私たちが恋人同士を装って潜入するんです」 颯汰は眉をひそめた。 「恋人同士……?」 「ええ。完璧に演じきる必要があります。怪しまれたら終わりですから」 瑠美は颯汰に歩み寄り、その胸元に指を這わせた。 「まずは練習しましょうか。キス、ボディタッチ、そういう自然な触れ合いに慣れておかないと」 颯汰は息を呑んだ。論理で動く彼の思考が、彼女の吐息にかき乱される。 「待ってくれ、そんな急に——」 「時間はありません。本番は明後日ですよ」 瑠美は踵を返し、颯汰の耳元に唇を寄せた。 「それとも、本番で失敗して、博明さんに殺されたいですか? 彼がどれほど危険な人物か、あなたは気づいていない」 彼女の言葉には、確かな重みがあった。颯汰は覚悟を決め、彼女の腰に手を回した。 「……わかった。やるぞ」

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