エラベノベル堂

仮面が剥がれる夜

18+ NSFW

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9章 / 全10

モニターの中で、瑠美の体が最後の痙攣を起こし、がくりと力を失った。 「あ……あ……」 喉から掠れた声が漏れ、彼女の意識が闇に沈んでいく。男たちが満足げに身を離す。 「もう完全に壊れたな」 博明が頷き、部下に指示を送った。 「彼女を別室に運べ。あとでまた楽しむ」 颯汰は表情を変えず、ただ冷ややかに観察を続けていた。その視線は博明の右手に注がれている。先ほどタブレットを操作した際、彼が画面に触れた指先。その痕跡が残っているはずだ。 「博明さん、水をいただきたいのですが」 颯汰が静かに告げると、博明は部下に目配せをした。 「客人に水を」 差し出されたグラスを颯汰は受け取ったが、わざと手を滑らせる。 「失礼」 グラスが床に落ち、水が飛び散る。博明が舌打ちをし、自分のハンカチを差し出した。 「使え」 颯汰はハンカチを受け取り、床を拭くふりをしながら、博明がタブレットを置いた場所の表面を撫でた。指紋の痕跡。肉眼では見えないが、ハンカチの繊維に付着した皮脂のパターンを特殊なインクで可視化すれば、認証を突破できる。博明がモニターに気を取られている間に、颯汰は懐から小型の解析機を取り出した。以前、瑠美から渡されたスパイ用の機器だ。 「……いける」 指紋パターンを読み取り、タブレットの認証画面に投影する。 virtual fingerprint。光学的な偽装で、センサーを欺く。画面が切り替わり、システムへのアクセス権限が表示された。 「博明さん」 颯汰が呼びかけ、博明が振り返る。その瞬間、颯汰はタブレットの特定のキーを押した。船内の照明が一斉に消灯し、非常灯の赤い光だけが廊下に浮かび上がる。 「なっ、どうなっている!?」 博明が立ち上がり、部下たちが慌てて動く。 「防犯システムがダウンしました!」 部屋の電子ロックが解除される音が響いた。颯汰は暗闇に紛れ、音もなく立ち上がる。 「残念ですが、お開きです」 颯汰の冷静な声が闇に響く。 「君、まさか——」 博明が気づいた時には、颯汰はすでに部屋を抜け出していた。廊下を走り、瑠美が運ばれた方向へ向かう。監視カメラはすでに無効化済みだ。角を曲がると、一人の男が瑠美を抱えて歩いていた。颯汰は駆け寄り、男の鳩尾に拳を叩き込む。 「ぐっ……!」 男が崩れ落ち、瑠美が床に滑り落ちる。 「瑠美!」 颯汰が彼女を抱き上げると、彼女の体は熱く、痙攣していた。 「颯汰……さん……?」 虚ろな瞳が薄く開く。 「待ってろ、今助ける」 颯汰は彼女を抱きかかえ、脱出経路へと走り出した。

9章 / 全10

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