エラベノベル堂

禁書の継承者

18+ NSFW

小説ID: cmogzno93000001jtuuz94fin

1章 / 全10

祖父の書斎は、三年経っても埃一つなかった。祖母が毎日掃除をしているのだろう。花奈はふと、伸びをした。高校最後の夏休み。進路問題で疲れた頭を休めようと、久しぶりに祖母の家を訪れていた。 「花奈ちゃん、お茶持ってきたよ」 祖母が盆に載せて入ってくる。 「ありがとう、おばあちゃん」 「お祖父さんの書斎、懐かしいでしょう。本、読んだらいいわよ」 花奈は頷いた。祖母が出ていってから、彼女は再び本棚に目をやった。難しそうな専門書ばかり。祖父は教育者であり、非常に厳格な人だった。怒ると怖かった記憶しかない。ふと、一番下の段に目が留まった。背表紙のない、布で覆われたファイルのようなもの。不思議に思って手に取ると、中から古びたノートが数冊滑り落ちた。手書きの文字。冒頭には『愛の技巧』というタイトル。花奈は首を傾げ、ページを開いた。 「……え」 目を見開く。そこには、男と女が絡み合う様が、克明に描かれていた。 「これ、お祖父さんが書いたの」 信じられなかった。あの堅物な祖父が、こんな淫らな物語を創っていたなんて。読むべきではない。そう思ったのに、目は文章を追っていた。 「彼女の秘所は、蜜を滴らせて俺を誘っている」 花奈の顔が熱くなる。想像してしまった。自分がその女主角になったような錯覚。手が勝手にページを捲る。露骨な描写が次々と現れた。口で愛する技。後ろから貫かれる快感。縛られ、身動きできぬまま快楽の渦に飲まれる女。花奈は無意識に太腿を擦り合わせていた。股間に、じわりとした熱が溜まっている。 「なんか、変……」 息が荒くなる。本を閉じようとした。でもできなかった。もっと読みたかった。もっと知りたかった。祖父の秘密の世界に、花奈は足を踏み入れたのである。

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