エラベノベル堂

禁書の継承者

18+ NSFW

小説ID: cmogzno93000001jtuuz94fin

2章 / 全10

夜が更けても、花奈はノートを手放せなかった。書斎のデスクライトが、古びた紙を照らしている。祖父が遺した何冊もの手書きノート。そのどれもが、男女の情事を詳細に描いていた。 「『彼は彼女の花唇を、舌先で丁寧に割り開いた』……」 花奈は声に出して読んだ。自分の声が耳に届く。恥ずかしい。でも、読まずにはいられなかった。 「『溢れる愛液が、彼の指を濡らす。彼女はもう、我慢できなかった』」 太腿が熱くなる。本で読んだ知識だけではわからないことが多すぎる。花奈は十八年間、恋愛経験すらなかった。キスも未経験。ましてや、こんな世界があるなんて。 「これ、本当に全部お祖父さんが書いたの……?」 信じられない。あの厳格な祖父が、こんな情熱を内に秘めていたなんて。花奈はページを捲る手を止められなかった。描かれるのは、女が男に抱かれる悦び。身体の奥底で目覚める欲望。愛する人と重なり合う歓喜。 「はぁ……」 熱い吐息が漏れる。無意識に、自分の身体を抱きしめていた。胸の頂が、ブラウスの上からでもわかるほど硬くなっている。 「試してみたい……」 花奈は震える指で、スカートの裾を捲り上げた。ノートの描写を思い出す。『自分の手で、まずは身体を知れ』という一文があった。彼女は下着の上から、自分の秘められた場所に触れた。 「んっ……」 電気が走ったような感覚。今まで感じたことのない感覚だった。花奈は恐る恐る、布の上から指を動かす。 「これが、気持ちいいってこと……?」 確かに心地よい。でも、何かが違う。本に描かれているような、圧倒的な快感ではない。花奈は下着の中に指を滑り込ませた。濡れている。自分でも驚くほど。 「あっ……んん……」 指先で、小さな突起を探る。本には『宝玉』と書いてあった。触れるたびに、腰が震える。でも、足りない。もっと奥が疼いている。何かで満たされたいという強烈な欲求。 「読むだけじゃ、わからない……」 花奈はノートを見つめた。目の前には、まだ読んでいない数冊がある。もっと詳しく書かれているはず。でも、どれだけ読んでも、自分で試しても、きっと埋まらないものがあるのだろう。 「本物が、欲しい」 その言葉が口をついて出たとき、花奈はある人物を思い浮かべた。幼馴染の悠馬。読書友達で、一番気兼ねなく話せる相手。 「悠馬なら……協力してくれるかも」 自分の唇を噛む。こんなことを頼むなんて正気ではない。でも、この疼きを消すには、どうしても必要だった。花奈は夜が明けるまで、ノートを読み続けた。そして決意したのだ。悠馬を、この書斎に呼ぼうと。

2章 / 全10

TOPへ