エラベノベル堂

禁書の継承者

18+ NSFW

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3章 / 全10

翌日の午後、約束通り悠馬が屋敷を訪れた。夏休みの宿題を手伝ってもらうという名目で。花奈は彼を書斎に招き入れた。 「ここ、涼しいね」 悠馬は無邪気に言って、窓際の椅子に座った。いつも通りの幼馴染。眼鏡の奥の瞳は穏やかで、本を読むのが好きな優しい青年。花奈は深呼吸をした。 「悠馬、ちょっと見てほしいものがあるの」 彼女はデスクの上のノートを手に取った。 「何?」 花奈は悠馬の隣に座り、ノートを開いた。官能小説の冒頭ページ。 「これ」 悠馬が目を落とす。一瞬、時が止まった。 「……えっと、これ」 彼の顔が瞬く間に赤くなる。 「お祖父さんが書いたの」 花奈は真剣な顔で言った。 「私、確かめたいことがあるの」 「え、確かめるって」 「本に書いてあることが本当かどうか」 花奈は悠馬の方を向いた。 「協力してくれるよね」 悠馬は困ったように眼鏡の位置を直した。 「花奈、そういうのは」 「読んで」 花奈はページを指差した。悠馬は視線を落とした。『彼女は彼の耳元で囁き、首筋に唇を這わせる』という一文。 「ここ、試してみたいの」 花奈は悠馬の肩に手を置いた。 「実験みたいなものだから」 彼女はノートの記述通り、悠馬の耳元に唇を寄せた。 「んっ」 悠馬が小さく息を漏らす。 「花奈、ちょっと待って」 「待たない」 花奈は彼の首筋に口づけた。チュッという湿った音が書斎に響く。悠馬の手が、行き場を失って宙を彷徨った。 「これ、書いてあった通りね」 花奈は満足げに呟いた。 「反応、あるみたい」 彼女はノートを確認してから、次のページを開いた。 「次はこれ」 悠馬が覗き込む。『彼女は彼の胸に手を滑らせ、ボタンを一つずつ外していく』という記述。 「花奈、本当にやるの」 悠馬の声が上擦る。 「実験だから」 花奈は彼のシャツに手をかけた。震える指で、まずは一番上のボタン。 「外せって書いてあるから」 指先が彼の鎖骨に触れる。悠馬の喉仏が動いた。 「……わかった」 彼は観念したように言った。 「最後まで、付き合うよ」 花奈の心臓が跳ねた。 「ありがとう」 彼女は二つ目のボタンに指をかけた。夏の午後、書斎で二人の秘密の実験が始まったのである。

3章 / 全10

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