エラベノベル堂

舞姫、盤上を制す

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10章 / 全10

九条は立ち去った。広間には重苦しい静寂が残った。華凛の母親が泣き崩れ、父親は呆然としている。祖母だけが静かに真人を見据えていた。 「城ノ内くん……あなた、最初からわかっていたのね」 真人は頷いた。 「将棋と同じです。相手の駒の動きを読み、王手をかける。九条さんの慢心が、最大の隙でした」 祖母が困ったように、そして安堵したように微笑んだ。 「華凛。お前、良い人を見つけたのね」 華凛は涙を流しながら、真人の手を握りしめた。親族会議は解散となり、真人と華凛は屋敷を出た。夜風が冷たく、二人の熱を冷ましていく。 「終わったのね……本当に、終わったのね」 「ああ。これからはお前の人生だ」 真人が華凛の肩を抱こうとした時、闇から声がした。 「見事でした、城ノ内真人さん」 晃が木陰から現れた。穏やかな笑みを浮かべ、静かに拍手を送っている。 「九条は算段だ。だが、あなたの読みの深さ、実に興味深い」 真人は晃を睨んだ。 「何が望みだ」 「望み? 私はただ、面白い駒を見つけただけです」 晃は真人に近づき、耳元で囁いた。 「この勝負、あなたが勝った。だが、私の盤上にも、あなたのような駒が欲しい。近々、またお会いしましょう」 晃は背を向け、闇の中へ消えていった。真人は一人、立ち尽くした。華凛が不安げに尋ねる。 「真人さん……あの人は何と?」 「……気にするな。俺たちには関係ない」 真人は華凛を抱き寄せ、唇を重ねた。 「今は、お前のことだけを考えていたい」 マンションに戻ると、二人は激しく求め合った。服が脱がされ、華凛の白い肌が露わになる。 「真人さん……私を、あなたのものにして」 真人は胸の先端を舌で転がし、指を熱く濡れた秘所へと滑り込ませた。 「あっ、んんっ……! 真人さん、好き……愛してるっ……」 真人は自身を彼女の秘唇に押し当て、ゆっくりと沈み込ませた。 「あぁぁっ……! んっ、あっ……!」 華凛の背が弓なりに反り、嬌声が部屋に響く。 「あっ、あぁっ! もっと、もっと深く……! 真人さんっ……!」 激しい動きに、二人の吐息が重なる。 「俺もだ……華凛……! これからは、ずっと一緒だ」 「ええ……ええっ……! あぁぁぁっ——っ!」 果てた瞬間、熱い飛沫が彼女の最奥に注がれた。二人は強く抱き合い、夜の静寂に包まれた。盤上の勝負は終わった。だが、真人は予感していた。晃という男との新たな駆け引きが、いずれ始まることを。しかし今は、華凛の温もりだけを感じていたかった。偽りから始まった恋が、本物の愛へと変わった瞬間だった。

検閲済みプロット

大学生の将棋部員である真人は、伝統舞踊を学ぶ華凛から、家が決めた婚約者を断るための偽の恋人役を依頼される。二人は偽りの関係を演じるうちに惹かれ合い、心と体を重ねる。しかし、華凛の家には裏社会に繋がる骨董商・晃が絡む複雑な事情と隠された財産の問題があった。真人は将棋で培った読みの深さと、相手の慢心を突く戦略でこの難局に挑む。

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