エラベノベル堂

不良少女と年下たち

全年齢

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2章 / 全10

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朱莉が角を曲がって消えたあとも、俺はしばらくその場を動けなかった。さっきまで胸の奥で鳴っていた警戒心が、完全に消えたわけじゃない。それでも、泣いていた小学生が、もう袖で顔をぐしゃぐしゃにしていないのを思い出すと、朱莉に貼りついていた怖いという札が、少しだけ剥がれた気がした。 俺は八百屋の前で立ち尽くしたまま、商店街の人波をぼんやり眺めた。すると、通りの向こうで子どもの声が上がった。ランドセルを背負ったまま走ってくる、さっきより少し年下に見える女の子がいる。朱莉はもういないはずなのに、なぜかその姿を見つけた瞬間、俺は肩を強ばらせた。 すると次の瞬間だった。 商店街の曲がり角から、朱莉がもう一度姿を現したのは。さっきと同じ派手な髪が、午後の光を受けて妙に目立つ。彼女は歩いていたはずなのに、女の子を見つけた途端、目つきだけが変わった。鋭さの奥に、何かを見つけた子どものような明るさが混じる。 朱莉は一歩だけ前へ出て、まるで宝物でも見つけたみたいに目を輝かせた。 その表情が、あまりにも露骨だった。 さっきまでの丁寧な手つきや落ち着いた声を知っているからこそ、今の朱莉の反応は妙にわかりやすい。嬉しそうなのに、近づいたら何をするのか少し読めない。放っておけばいいのか、何かしてやるつもりなのかも分からない。ただ、年下の子を見つけた瞬間だけ、彼女の空気が一気に熱を帯びた。 女の子はまだこちらに気づいていない。朱莉はその様子を見て、ほんのわずかに口元を緩めた。さっきまでの無表情に近い顔とは別人みたいで、俺は息をのんだ。 怖いだけじゃない。そう思いかけた直後に、今度は別の不安が胸に落ちてくる。 あの目の輝きは、助けたい気持ちなのか、それとも、もっと厄介な何かの始まりなのか。 俺は商店街の雑音に紛れながら、朱莉の次の動きを見逃すまいと、知らず知らずのうちに足を止めた。

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