エラベノベル堂

不良少女と年下たち

18+ NSFW

小説ID: cmousuhfa000o01qa3fzr7r1y

1章 / 全10

「凛月先輩ってさ、マジでヤバいって。昨日も男殴ったらしいよ」 教室の窓際、友人の声を聞き流しながら、俺は外を眺めていた。 「お前、関係ないだろ」 「いや、知っておいた方がいいって。手を出したら退学ものだぞ」 茶髪にピアス、制服を着崩した凛月葵。上のクラスの彼女は、うちの学校で最も恐れられる存在だった。噂は尽きない。教師に啖呵を切った、彼女に手を出した男が病院送りになった。どれもが作り話めいているけれど、俺は彼女と関わったことがない。怖いというより、ただ遠い存在だった。 土曜の午後。俺は商店街を歩いていた。母さんに頼まれた買い物を終えて、のんびりと帰る道すがら。ふと、路地の方から子供の泣き声が聞こえた。 「うぅ……ママ……」 小学一年生くらいの男の子が、膝をついて泣いている。迷子だろうか。周りに大人はいない。俺が声をかけようとした、その時だった。 「ちょっと、大丈夫?」 低めの、でも通りのある声。振り返ると、そこにいたのは凛月先輩だった。 俺は息を呑んだ。彼女だ。噂の主本人。何かあってはいけないと身が強張る。でも、彼女の表情は予想外だった。 「ほら、顔上げて。どこに行きたいの?」 彼女はしゃがみ込んで、男の子の目線に合わせている。そしてポケットから、真っ白なハンカチを取り出した。 「鼻水、拭いてあげる」 泣きじゃくる男の子の顔を、彼女は丁寧に拭っていく。その指先は驚くほど優しく、表情には困ったような、でも穏やかな笑みが浮かんでいた。 「ありがとう……お姉ちゃん」 「いいのよ。ママ、どこにいるか覚えてる?」 「うん……あっちのスーパー……」 「じゃあ、一緒に行こうか。送ってあげる」 彼女は男の子の手を取って、歩き出した。その後ろ姿を見送りながら、俺は立ち尽くしていた。 噂で聞く怖い先輩と、目の前にいた優しい少女。そのギャップに、心臓が早鐘を打っていた。 「……俺、あの人に惚れたのかも」 俺は自分の口から出た言葉に、一番驚いていた。

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