「あ、あの……これは……その……」 美玲先輩は赤いタイツに包まれた両手で胸元を隠すように抱きしめ、言葉を継げなかった。将大はスマホのライトを向けたまま、彼女の姿をまじまじと見つめてしまう。街灯の明かりとライトが交差し、彼女が纏う赤いタイツの質感が浮き彫りになった。それは単なる布地ではない。爬虫類の皮膚を思わせる艶やかな光沢を放ち、彼女の肢体の曲線に沿ってぴったりと密着していた。 「先輩、それ……」 将大が一歩近づくと、美玲先輩は後ずさりをした。 「見ないで! お願いだから……誰にも言わないで!」 彼女の声は震え、瞳には涙が浮かんでいた。いつもは冷静沈着で、生徒会役員も務める完璧な優等生。その彼女が、深夜の公園で爬虫類のような質感の赤いタイツを身にまとい、奇妙な体操をしていたのだ。将大の脳内で好奇心と興奮が混ざり合う。 「ねえ先輩、これってSNSで噂の『赤タイツ男』ですよね?」 彼女は顔を覆い、悲鳴のような声を漏らした。 「違うの! 私はただ……ストレス発散で……」 その言い訳がさらに状況を悪化させていることに気づいていないようだった。将大はスマホの画面をちらりと確認する。カメラアプリは起動したままだった。彼は何気なくシャッターを切った。フラッシュが夜闇を一瞬切り裂く。 「きゃっ!」 美玲先輩が反射的に腕で顔を覆う。その隙に、彼女の赤タイツ姿が鮮明にスマホの中に収められた。 「これ、衝撃ですよね」 将大が画面を見せると、彼女は真っ青になった。 「消して! お願い、消して!」 彼女が慌てて飛びかかろうとするが、将大は軽やかに身をかわした。深夜の公園、二人の奇妙な追いかけっこが始まる。しかし赤タイツ姿の彼女の動きは、なぜか機敏だった。 「先輩、意外と動けるんですね」 将大がからかうように言うと、彼女は悔しそうに唇を噛んだ。その表情には、いつもの優等生の面影はなかった。
赤タイツの秘密
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