エラベノベル堂

湯けむり眼鏡騒動

18+ NSFW

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2章 / 全10

いつの間にか宴会の喧騒が遠のき、美奈はひとり廊下をふらふらと歩いていた。床板の感触が裸足に伝わり、浴衣の裾が歩くたびにはらはらと揺れる。 「あれ、温泉どこだっけ……」 呂律の回らない口で独り言を漏らす。視界が酒のせいだけではなく、どこかぼやけていることに気づいていない。部屋を出る際、テーブルの上に眼鏡を置き忘れてしまったことなど、酔った頭では思いもしなかった。 「ふふ、お酒美味しかったなぁ……」 廊下の明かりが滲んで幾重にも重なり、美奈の視界では光の玉が漂っているように見える。ふらつく足取りで角を曲がると、暖簾が揺れる入口が見えた。 「あ、ここだ!」 無意識に口元が緩む。暖簾の色は判別できず、文字も滲んだ黒い影にしか見えない。のれんをかき分けて中へ入ると、そこは脱衣所だった。木製のロッカーが並び、籠が置かれている。床には誰かが脱ぎ捨てた男物の下着が落ちていたが、ぼやけた視界ではそれが何か判別できず、ただの白い布切れにしか見えなかった。 「ふぅ、やっとお風呂だぁ」 美奈は浴衣の帯に手をかけ、少し時間をかけて結び目を解いた。するりと布が肌から滑り落ち、薄いピンクの肌が露わになる。床に浴衣を落とし、下着も脱ぎ捨てて、彼女は生まれたままの姿になった。肌が湯気を含んだ空気に触れ、うっすらと汗ばむ。 「わあ、もう湯気すごい……いいお湯だなぁ」 無防備に全裸で立ち尽くし、湯気の立ち込める奥の出口を見つめる。そこから先は湯気が白く立ち上り、何が待っているのかは見えない。 「キノコ栽培でもしてるのかな、この旅館」 根拠のないことを口に出して笑い、美奈は一歩、また一歩と湯気の中へ足を踏み出した。

2章 / 全10

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