湯気が立ち込める浴場に、水音が響いていた。天井の高い木造の空間には、岩風呂を模した大きな湯船が設えられ、数人の男性が湯に浸かってくつろいでいる。 「いやあ、いい湯だな」 「仕事忘れてリラックスしましょうや」 課長の明彦が湯船に背中を預け、深いため息をついた。広い肩に白い湯気がまとわりついている。同僚の蒼空も隣で目を細め、天井を見上げていた。 「美奈ちゃんたち女子組はまだ宴会ですかね」 「だろうな。あいつら飲まされてたなあ」 湯船には他にも数名の男性社員が浸かっている。それぞれが仕事の疲れを癒やし、陽気な会話を交わしていた。 「お、誰か来るぞ」 入口の方から湯気を割って人影が現れた。白い肌が湯気の向こうから浮かび上がり、ふらつく足取りでこちらへ近づいてくる。 「あれ……?」 明彦が目を細めた。湯気の向こうから現れたのは、全裸の女性だった。湯に濡れた黒髪が肩に張り付き、豊かな曲線を描く肢体が露わになっている。 「美奈ちゃん!?」 蒼空が思わず声を上げた。浴場にいた全員の視線が、湯船の縁に立つ美奈に注がれる。しかし当の美奈は、きょとんとした表情で男性たちを見つめるだけだった。度の強い眼鏡をかけていない彼女の視界は、極度の近眼も相まって完全にぼやけている。 「あれ……ここ、どこだっけ……」 美奈は小首を傾げ、湯船の中にいる人影を眩しそうに見つめた。酔いが回った顔はほんのりと赤く、とろんとした瞳が焦点を結ばずに揺れている。 「美奈ちゃん、ここ男湯だぞ!」 明彦の声に、美奈はふわふわと笑った。 「えへへ、課長もいるんだ。みんなで温泉入ってるの?」 美奈は湯船の縁に手をかけ、中へと足を踏み入れた。水面が波打ち、彼女の足が湯に浸かっていく。男性たちは息を呑み、視線を逸らすこともできずにその姿を見つめた。 「あつっ……いいお湯……」 美奈が湯に腰を沈めると、湯面から胸の上あたりまでが浸かった。彼女はふと、湯の中に何かが立っていることに気づいた。ぼやけた視界でも、湯を割って屹立するいくつかの影が見える。 「……あ」 美奈の目が輝いた。 「わあ! すごい! 大きなキノコがいっぱい!」 無邪気な声が浴場に響き渡った。
湯けむり眼鏡騒動
18+ NSFW小説ID: cmp2dbklk003201o9buwig09q










