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異世界受付と開かずの金庫

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10章 / 全10

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朝の薄い灰色が、遺跡の出口に滲んでいた。崩れた石門の向こうへ出た瞬間、私は思わず立ち止まる。外の空気は冷たくて、湿った土の匂いが肺の奥まで入り込んできた。背後では、半壊した金庫室が静かに沈黙している。あれだけ苦労して開けた先に、本物の宝はなかった。代わりに残っていたのは、次の地へ進むための通行証を隠した装置だったという事実だけだ。 手の中には、封印の核を押さえ直したときに浮かび上がった小さな札があった。金属とも紙ともつかない妙な質感で、見れば見るほど見慣れない。けれど、今度は逃げ出したくなるほどではない。むしろ、ここまで来たのなら受け取るしかない、という感覚があった。私は札を握り直し、胸の奥に残る熱を確かめる。冒険者レベルが上がった時のあの感覚は、まだ体のどこかで静かに鳴っていた。 振り返ると、ゴブリンたちが出口の影に並んでいた。武器を構えている者はいない。代わりに、彼らはそれぞれ違う仕草で私を見送っていた。ひとりは胸を叩き、ひとりは短く指を鳴らし、もうひとりは地面に小石を置いた。あの日、森の入口で私を脅した相手と同じとは思えないほど、今は不器用な敬意がにじんでいる。 私はそれに応えるように、両手を軽く広げた。言葉ではなく、舞台で覚えたお辞儀に近い角度で頭を下げる。すると、ゴブリンたちの中の一体が、少し照れたように顔を背けた。思わず笑いがこみ上げる。通じないはずの相手と、こんな別れ方をする日が来るなんて。 私は札を胸元にしまい、もう一度だけ遺跡の方へ目を向けた。倒した敵の跡も、開かずの金庫の重さも、今はもう背中を押すだけだ。新しい依頼は、きっとこの先にある。私は息を整え、草の露を踏みしめる。振り向けば、ゴブリンたちはまだそこにいる。だが足は止めない。私が次に向かう先は、もう決まっていた。

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主人公は演技と度胸で生きる女優で、くじ運が悪く、罰ゲームや面倒な役目ばかり引き当てる。撮影中に意識を失い、目を覚ますと話術のみレベルMAXの冒険者として登録されていた。その世界で出会う相手は言葉の通じないゴブリンたち。主人公はその相手とコミュニケーションで対決し、徐々に冒険者レベルを上げていく。やがて中ボスの触手モンスターが現れ、なんとかそれを倒して次の冒険に向かうところでラスト。開かずの金庫がストーリーのキーとなる。

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