目を開けた瞬間、天井が妙に低く見えた。まだ眠気の残る頭で何度か瞬きをして、それから自分の手に視線を落とした朝倉章吾は、そこで息を止めた。白く細い指先が、見慣れた自分のものではなかった。布団を押しのけて上体を起こすと、肩にかかる髪がさらりと滑り、重さまで違うことに気づく。慌てて近くの姿見に駆け寄った章吾は、そこでようやく現実を理解した。そこに映っていたのは、黒髪を長く垂らした、線の細い美少女だった。 「……は?」 声まで高い。喉の奥から出た音が、知らない人のものみたいに軽く響いて、章吾は鏡の前で固まった。顔立ちは整っているのに、見覚えのあるはずの部屋が別世界のように遠い。寝間着の襟元を押さえながら、章吾は何度も瞬きをした。だが鏡の中の少女は消えない。むしろ、混乱すればするほど、頬の色まで余計に目立ってしまう気がした。 とにかく落ち着け、と自分に言い聞かせる。けれど落ち着くための材料が何ひとつない。制服は当然自分の体に合わない。引き出しを開け、クローゼットを探り、ハンガーにかかった服を片っ端から確かめるうちに、章吾はようやく今日着られそうなものを見つけた。サイズも形も、今の自分には少し大きい。袖を通しながら、これを着て外へ出る自分を想像して、胃のあたりが重くなる。 それでも、立ち止まっていても仕方がない。学校を休む理由も、こんな異常事態を説明する言葉も持っていない。鏡に映る顔を見上げて、章吾は深く息を吸った。どうにかするしかない。まずは学校へ行く。事情は分からなくても、今日が始まってしまった以上、そこから逃げるわけにはいかなかった。
朝になったら美少女
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