私は紙の端をそっと押さえ、完成した文案をもう一度読み返した。画面に並んだ文字は、たしかに整っている。けれど、整いすぎているせいで、どこか近寄りがたい。そんな違和感が、胸の奥にひっかかった。 「少し、かたいな」 口にした瞬間、答えはもう見えていた。説明としては十分でも、読もうとする人の肩を軽くする一言が足りない。私は椅子にもたれ、天井を見上げる。ここに来る人は、たぶん構えたくて来るわけじゃない。自分に合う物語があるか、少しの期待と少しの不安を抱えて来るはずだ。 ならば、最初にその緊張をほどけばいい。 私はメモ帳を開き、文案の最後に入れる言葉を考えた。押しつけがましくなく、けれど温度のある一言。検索でたどり着いた人が、そっと息をつけるような文章。 「気軽に見ていってください、かな。でも、それだけだと弱いか」 独り言を重ねながら、私は候補をいくつか書き出した。気になる作品に、出会ってもらえますように。自分のペースで、選んでください。初めての方でも、安心して眺められる場所です。 どれも悪くない。だが、締めの一文として置くなら、もう少し自然に余韻がほしかった。私は視線を上げ、読み手がページを閉じるところまで想像する。宣伝を読んだ、という感覚ではなく、案内を受け取った、と感じてもらえればいい。 そこで、文の最後に小さな安心を添える言い回しを足した。 どうぞ、あなたの好きな一編を見つけてください。 書き込んだ瞬間、空気が少しやわらいだ気がした。命令ではない。約束でもない。ただ、そこにいる読者へ向けたささやかな声だ。 私は前に置いた文章とのつながりを確認しながら、もう一度全体を読む。紹介の骨組みはそのままに、最後の一滴だけ親しみを加える。すると、硬かった表情がゆるみ、案内文がようやく人の手に届く感じへ変わっていった。 「これなら、入り口として悪くない」 そう呟いたところで、私はペンを置く。まだ公開用の完成形ではない。けれど、読者に向けた一言と、安心して読める締め文は、確かに加わった。窓の外では夕方の色が濃くなりはじめていて、書斎の静けさの中、文面は次の仕上げを待っていた。
検索に強い案内文
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