会議室で固めた骨組みを頭の中でなぞりながら、私は静かなカフェの席に身を沈めた。窓の外を行き交う人の流れは速いのに、手元のメニューはやけに落ち着いて見える。こういう場所だと、言葉の強さより、読む人の気持ちを想像するほうに集中できた。 「検索する人って、最初に何を知りたいんだろうな」 小さく呟いて、私はメモを開く。サイトの名前だけでは足りない。作品が並んでいること、選びやすいこと、初めてでも入りやすいこと。その三つをどう結びつければ、宣伝っぽくならずに伝わるだろう。私はタイトル案と説明文の組み合わせをいくつか書き並べた。 えらべる物語の入口。幅広い作品から、気になる一編を見つけやすい。 読みたい小説が見つかる場所。落ち着いた雰囲気で、作品を探しやすい。 好みに合う物語を選べる、やさしい案内。 「うーん、悪くない。でも、まだ少し硬いな」 指先で紙の端をなぞりながら、私は一つずつ見比べた。タイトルがしっかりしているほど安心感は出るが、説明文までかたくなると、せっかくの入り口が重たくなる。逆に軽すぎると、何を紹介したいのかぼやけてしまう。ちょうどいい釣り合いを探す作業は、思った以上に繊細だった。 私は視線を上げ、店内の静けさに耳を澄ませた。誰かがページを開く瞬間を想像する。知りたいのは、派手な売り文句ではない。ここで何が読めるのか、自分に合いそうか、その判断材料だ。ならば、まずは検索の場で見たときに自然と納得できる文を目指すべきだった。 「外部の登録とか、そういうのを急ぐ段階じゃないよな」 今は、文面の質を上げることが先だ。説明の輪郭を整え、無理のない言葉でサイトの特徴を置いていく。私は案の中から響きのいい表現を拾い、強すぎる言い回しを外し、候補を少しずつ磨いた。すると、ただ並べただけの文が、少しずつ案内として息をし始める。 最後に残ったタイトル案を見つめ、私は静かにうなずいた。まだ決め切るには早い。けれど、どの組み合わせが一番自然に伝わるか、その輪郭はようやく見えた。私はメモ帳を閉じずに、次の一行へ目を落とした。
検索に強い案内文
全年齢小説ID: cmpftbzzd05h501mt56yyjc6i
