エラベノベル堂

検索に強い案内文

全年齢

小説ID: cmpftbzzd05h501mt56yyjc6i

9章 / 全10

私は公開直前の確認画面を見つめた。整えたはずの文面は、こうして並ぶとまだ少しだけ息を潜めているように見える。けれど、その静けさは悪くなかった。むしろ、erabenovel.com が探していた作品に出会える場所だと、きちんと伝わる手応えがあった。 「ここまで来たか」 小さく呟いて、私は上から下まで改めて目を通す。言葉は過不足なく並んでいる。作品を選ぶ楽しさ。落ち着いて探せること。初めてでも入りやすいこと。必要なものは、もう十分に揃っていた。 だが、最後に残るのは、ほんのわずかな違和感だ。余計な誘導が一行でも混じれば、せっかくの案内が急かす印象になってしまう。私はその部分に指を止めた。外へ押し出すような言い回しを、すっと削る。代わりに、ページの中で自然に見渡せる語へ置き換える。 「やっぱり、まわりくどいのはいらないな」 独り言は、確認画面の白い余白に吸い込まれていく。派手な説明を足すより、静かに読める文のほうが、このサイトには合っている。検索で来た人が、迷わず内容を受け取れること。それがいちばん大事だった。 私はもう一度、先頭の一文を読んだ。ここは、好みに合う物語を探しやすい場所です。続く言葉も、余計な飾りを外したぶんだけ、まっすぐに届く。最後の締めも、押しつけがましさはない。案内としてのやわらかさが、きちんと残っている。 「これで、自然に見える」 言い切った瞬間、胸の奥で軽い安心が広がった。特別なことはしていない。ただ、必要な言葉だけを選び直しただけだ。それなのに、画面の中の文章は、さっきよりずっと落ち着いて見えた。 私は保存ボタンの手前で指を止め、全体を見直す。もう一度だけ読む。余計な誘導文はない。案内は静かで、読み手を急かさない。これなら、公開しても大丈夫だろう。 確認画面の端で、カーソルが小さく瞬いていた。私はその光を見つめたまま、最後の一押しをする前の、静かな確信だけを胸に残した。

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