エラベノベル堂

検索で育つ投稿サイト

全年齢

小説ID: cmph5bdl602so01pkpeqq991q

10章 / 全10

朝の光が、机の端に置いたマグカップの縁を白くしていた。正明はその向こうの画面を見て、思わず瞬きをする。昨日まで静まり返っていた erabenovel.com に、見慣れない気配がいくつも並んでいた。 「……来てる」 つぶやきは、部屋の空気に小さく溶けた。アクセスの数字が少しずつ伸びている。しかも、ただ見られただけじゃない。作品ページの感想欄にも、短い言葉がいくつか残されていた。 「読みやすかった」 「入口が分かりやすい」 「次も見に来ます」 正明は一つひとつ読み返し、肩の力が抜けていくのを感じた。派手な宣伝も、無理に押し出すやり方も使わなかった。それでも、ちゃんと届くんだ。自分の手で整えたものが、誰かに拾われている。 「近道じゃなかったけど、間違ってなかったんだな」 声に出した瞬間、胸の奥がじんわり熱くなる。あの夜の保留も、図書館で調べた時間も、地味な修正を重ねた日々も、全部ここにつながっていた。急いで数字を作るより、安心して読める形を育てるほうが、ずっと強い。 正明は更新履歴を開き、昨日入れた細かな修正を見直した。作品紹介、入口の案内、一覧の並び。どれも目立たない。でも、その積み重ねが今の反応を呼んでいる。 「誠実にやるって、こういうことか」 ふっと笑うと、画面の中の文字までやわらかく見えた。検索から来た読者はまだ少ない。それでも、確かに増え始めている。しかも感想まで届くなら、もう一人きりで作業している感じはしなかった。 正明は椅子にもたれ、深く息を吐く。目先の近道を選ばなかった自分を、ようやく少し誇れる気がした。 「えらべる場所にしたかったのは、読まれるためだけじゃない。ちゃんと信じてもらうためだったんだよな」 そう言って、正明は静かに笑った。派手な成功じゃない。けれど、積み上げた信頼が、今まさにサイトを少しずつ広げている。その確かな手応えが、朝の机の上でやさしく光っていた。

検閲済みプロット

erabenovel.com を題材に、一般向けの短編小説として、検索エンジンへの掲載を目指すウェブサイト運営と広報をめぐる物語に書き換える。

10章 / 全10

TOPへ