正明は画面を見つめたまま、しばらく指先を動かせなかった。さっき公開したばかりのページは、整えたときと変わらない顔でそこにある。けれど、その静けさの中に、少しだけ肩透かしを食らったような空気が混じっていた。 「……まだ、出ないのか」 検索結果を開き直しても、erabenovel.com の名前は見当たらない。さっきまで手を入れた説明文も、更新履歴も、入口の整理も、画面の向こうではちゃんと息をしているはずなのに、外の世界は驚くほど無反応だった。 正明は椅子にもたれ、浅く息を吐く。焦りが胸の奥で小さく跳ねた。ここまでやったのに、すぐには反映されない。見つけてもらうために積み上げたものが、今はまだ誰にも届いていない気がした。 「そりゃ、そう簡単じゃないよな」 自分に言い聞かせる声は、少しだけ強がっていた。検索に映るまでに時間がかかることは、頭では分かっていたつもりだ。それでも、公開した直後なら何か変わるかもしれないという期待が、どこかに残っていたのだろう。 モニターの光が、机の上のメモを白く照らす。作品紹介の言い回し、入口の並び、更新の記録。今日やったことが、ひとつひとつ紙の上に思い出される。派手な変化はなくても、無駄だったとは思えなかった。 「少なくとも、ちゃんとした形にはなった」 声に出してみると、少しだけ心が落ち着いた。反映はすぐではない。だが、だからこそ今の作業に意味がある。誰かが辿り着いたとき、安心して読める場所になっていればいい。そこへ至るまでの時間が長くても、土台が揺らがなければ待てるはずだ。 正明は検索画面を閉じずに、ゆっくりと更新ページへ戻った。必要なのは、今すぐの結果じゃない。積み上げた内容が、いつか見つかると信じて待つことだ。 「無駄じゃない。まだ表に出てないだけだ」 夕暮れの光が薄く傾いていく。正明は再びキーボードに手を置き、反射する画面の奥で、小さく息を整えた。
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