エラベノベル堂

瓜二つの部下

18+ NSFW

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第2章 / 全10章

「では、まず基本的な業務フローから説明するね」 正樹は出来るだけ平静を装い、陽葵のデスクの横に立った。彼女は真剣な眼差しでモニターを見上げている。 「はい、お願いします先輩」 その呼びかけ。聴覚に馴染みのある響きに、正樹の背筋に緊張が走った。 「えっと、これは社内システムのマニュアルだ。最初は戸惑うかもしれないけど、慣れれば大丈夫」 正樹はプリントアウトした資料を手渡した。陽葵は受け取る際、少し指先が触れた。 「ありがとうございます」 彼女は資料を開き、熱心に目を通し始めた。正樹は自席に戻ろうとしたが、視線が自然と彼女の方へ向いてしまう。黒髪が肩越しに流れる。耳にかける仕草。全てが既視感を伴って脳裏に焼き付いていた。 「先輩、ここ何ですが」 陽葵が画面を指差しながら椅子を回転させた。 「この項目、どう入力すればいいですか?」 正樹は彼女のデスクに戻り、画面を覗き込んだ。 「ああ、そこは自動計算されるから空白でいいよ」 「分かりました!」 陽葵は満面の笑みを向けた。その笑顔の角度。目が細められる加減。正樹は息を飲んだ。彼女の作品のパッケージ写真と同じ表情だ。 「……他に質問はある?」 「今のところ大丈夫です。先輩が分かりやすく教えてくれるので」 陽葵は首を少し傾げた。その無邪気な動作。正樹は込み上げる動揺を押し殺した。偶然に決まっている。世の中に似ている人は沢山いる。 「じゃあ、何かあったらすぐ聞いて」 「はい、よろしくお願いします」 陽葵は再びモニターに向き直った。正樹は自席に着き、ため息を堪えた。作業に集中しようとするが、意識は隣の席に引き寄せられる。彼女がキーボードを打つ音、書類をめくる音、時折漏らす小さな独り言。全てが正樹の理性を試していた。昼休みを告げるチャイムが鳴った頃、正樹の額には汗が滲んでいた。

第2章 / 全10章

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