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呪われた女魔王

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10章 / 全10

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城の最上階へ続く階段は、いつもより長く感じられた。窓のない石の塔に、夜の冷気が細く絡みつく。私は息を整えながら歩き、背後に続く気配を確かめた。 「全員、いるわね」 「もちろんです、魔王様」 「逃げる理由がありませんから」 軽い返事に、少しだけ口元が緩む。ならよかった。私一人では、ここまで来ても足りない。 扉が開く。闇の向こうに、勇者がいた。以前と同じ目だ。まっすぐで、眩しくて、こちらの敗北を当然のように思い出させる目。 「……生きていたか」 「その言い方、久しぶりね」 私は胸の奥で、あの日の光を思い出した。剣先が迫り、世界が白く滲んだ感覚。あの瞬間に残ったのは、怒りだけだったはずだ。なのに今は、その怒りの横に、妙に落ち着いた何かがある。 勇者が剣を構える。私も一歩だけ前へ出た。 「来い、魔王」 「来るわよ。でも、少しだけ順番を変える」 合図は小さかった。けれど、空中回廊の左右に潜んでいた魔物たちが、ほとんど同時に動いた。風を裂く布、足場をずらす影、視界を奪う粉塵。勇者の踏み込みが一瞬だけ遅れる。 「また小細工か!」 「ええ、小細工よ。大きな力がないなら、頭を使うしかないもの」 私は回廊の端に身を滑らせ、勇者の剣筋を外した。魔物たちが支えてくれる。以前なら考えられなかった連携だった。 「魔王様、上です!」 「分かってる!」 私は指先を鳴らし、細い魔力で回廊の壁に走る紋を光らせた。封印の歪みが、ここでもうっすらと脈打つ。勇者の目が見開かれる。 「それは……」 「そう。あなたの呪いは、私を閉じ込めるだけのものじゃなかった」 私は剣を持たない手で、胸元の文を思い出す。未完の封印。魔王として立つ者だけが断てる縫い目。 「私はね、あなたを倒す前に、これを破ることにしたの」 「何を言っている!」 「そのあとで魔王軍を立て直す。順番はそういうこと」 勇者が絶句する。まるで、想定していた結末から急に外されたみたいに。 私は不機嫌に笑った。 「復讐は棚上げ。文句があるなら、次はもっと面白い手を用意してきなさい」 背後で魔物たちが、どっと息をついた。勇者は剣を下げたまま、しばらく動けない。私はその顔を見て、少しだけ肩の力を抜いた。 新しい魔王として立つ。その始まりが、こんなに腹立たしくて、少しだけ悪くないなんて。

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主人公は女魔王。ある日訪れた勇者一行に倒されてしまい、転生して勇者への復讐を誓う。しかし、転生した際に勇者にかけられた呪いにより、魔力のほとんどを制限されてしまう。見た目も日本の女子学生のようになってしまい、威厳が無くなった主人公は、仲間であるはずの同じ魔王軍の魔物からも軽んじられてしまう。復讐よりも快楽の気持ちが勝ってしまうというコメディ。触手などの奇妙な魔物との騒動が続くが、あくまで非露骨なドタバタ劇として描く。

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