エラベノベル堂

涙が溶ける場所

18+ NSFW

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2章 / 全10

重苦しい沈黙が続いた。エリナは結界の壁に手を押し付け、強く睨みつける。 「あの老いぼれ、何を考えているの」 苛立ちが胸の内で激しく燃え上がる。その瞬間、手元から赤い光が揺らめき、部屋の隅々までを鮮やかに照らし出した。 「えっ」 エリナは思わず手を引っ込める。だが赤い輝きは消えず、むしろ勢いを増して揺らめき続けた。 「何だこれは」 アランが振り返り、目を見開く。 「お前の周りから発している」 エリナは自分の両手を見下ろした。怒り、不満、焦燥。胸の内にある負の感情が、色濃い赤となって立ち昇っている。 「馬鹿な、感情が見えるなんて」 アランが押し黙る。彼の周りでも変化が起きていた。青白い霧が足元から湧き出し、徐々に部屋を包み込んでいく。 「お前もだ」 エリナが指摘する。 「その霧、お前の憂鬱でしょう」 アランは眉をひそめ、何も答えない。しかし霧は彼の沈んだ心をそのまま表すかのように、濃密に立ち込めていた。 「最悪ね」 エリナが吐き捨てる。 「私の苛立ちがお前に分かる。お前の暗い雰囲気も私に響く」 アランが自嘲気味に笑う。 「俺達はお互いの本音を隠せないということか」 赤い炎と白い霧が混ざり合うことなく、部屋の中で対峙している。エリナは唇を噛みしめた。魔族の王女として培った冷静さも、人間への憎悪も、すべてが露わになっている。 「こんな恥をさらすなら、いっそ殺し合いの方がマシだったわ」 アランが疲れたように壁に背を預ける。 「俺もだ。だが、どうにもできない」 二人の視線が絡み合う。赤と白の光が揺らめき、互いの感情を容赦なく晒し続けた。

2章 / 全10

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