エラベノベル堂

涙が溶ける場所

18+ NSFW

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3章 / 全10

赤い炎と白い霧が対峙する中、エリナは静かに口を開いた。 「この呪いの効果、確かめないと」 慎重にアランへ近づいていく。彼女の周りの赤い光が揺らめき、足元の床を照らす。アランは動かず、ただ彼女を警戒したまま見つめていた。 「何をするつもりだ」 「分からないわ。ただ、このまま突っ立っているだけでは何も解決しない」 エリナは手を伸ばし、彼の肩に触れようとした。その瞬間、彼女の指先が彼の腕にかすかに触れる。電流のような衝撃が二人を走り抜けた。 「っ!」 エリナが息を呑む。同時に、彼女の脳裏に鮮烈な光景がフラッシュバックした。剣が交錯する戦場。仲間の断末魔。左脇腹を貫く激痛。血の匂い。アランの古傷が痛み出し、彼女の体も同時に鋭い痛みに見舞われる。 「これ……あんたの記憶?」 アランもまた、異変に襲われていた。胸の奥が凍えるような冷たさ。誰にも理解されない孤独。魔族の王女として背負わされた重圧と、孤独。彼は思わず膝をついた。 「お前の中にあるのは……これか」 エリナの感情が、彼の心に直接流れ込んでくる。 「私の孤独が見えた?」 彼女は震える声で尋ねた。アランは荒い息を吐きながら顔を上げる。彼の蒼い瞳には、今まで宿していた敵意とは異なる光があった。 「俺は……お前を敵だと思っていた。だが、これでは」 エリナもまた、彼の戦場での痛みを共有し、言葉を失っていた。人間の王子が背負ったもの。戦争の記憶。失った仲間への罪悪感。どれもが魔族である彼女と同じ種類の闇だった。 「触れるなと言ったのに」 アランが低く呟く。 「言ったわね。でも、もう遅い」 エリナは自分の手を見下ろした。触れられた部分がまだ熱を持っているような感覚。そして、心の中に残る彼の痛みの残響。二人は互いを見つめ合った。赤い炎と白い霧が、少しずつ混ざり始めていた。

3章 / 全10

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